研究課題
1、統合モデリング・コードの開発・改良:(1)炉心の不純物輸送コードIMPACTとダイバータコードSONICの不純物部分コードIMPMCとの結合モデルを開発し、IMPACT側に導入した。(2)実験で得られた経験的モデルを導入して境界輸送障壁の幅が自律的に決まるようにした。(3)ダイバータ版での不純物発生の既存モデルで、統合コードに結合できるモデルを選定した。(4)名古屋大学との共同研究の一環として、プラズマの回転に伴う不純物のピンチモデルに捕捉粒子と遠心力の効果を導入し改良した。2、流体コードIMPACTとモンテカルロ粒子コードIMPMCの結合モデルの考案:流体コード同士の結合では、片方が密度・温度等を与え、もう片方が粒子・熱等の正味流束を与えるのが、従来の方法である。しかし、モンテカルロ粒子コードでは境界で片側への流束しか評価できず、正味流束ではないので流体コードの境界条件には使えない。そのため、次の手順の結合モデルを考案した。(1)不純物価数毎にIMPMCの境界密度を評価し、それを境界条件としてIMPACTを解く。(2)その境界より少し内側でIMPACTで評価した正味流束Fと、IMPMCの炉心内側への片側流束F_-から外側への片側流束F_+を計算(F_+=F+F_-)。(3)F_+を用いてモンテカルロ粒子を発生させ、繰り返し計算か時間発展を繰り返す。上記モデルでは、IMPACTとIMPMCの計算領域は少し重なり外側がIMPACT、内側がIMPMCの境界となる。この結合モデルの適用性をIMPACT側で実証した。3、研究調査および成果発表:口頭発表やポスター発表を行うなど得られた研究成果の発表を行い、調査・討論を通して、関連する研究の情報を得た。
3: やや遅れている
炉心不純物輸送コードIMPACTとダイバータコードの不純物部分コードIMPACTの結合モデルを開発し、結合モデルの適用性をIMPACT側で実証したが、IMPACT側で実証するための改良が遅れているため。
平成27年度に得られた結果を基にして、以下の事項を行う。1、統合モデル・コードの開発・改良:(1)IMPACTとIMPMCの結合モデルを、IMPMC側を改良して実装し、IMPACTとIMPMCの繰り返し計算をできるようにする。(2)IMPACTとIMPMCの結合計算結果を基にIMPACTと5点モデルとの結合方法を検討、開発する。ここで、前年度までに選定した不純物発生モデルを用いる。また、TOPICSに導入されているELMモデルを、IMPACTにも導入し、TOPICSとIMPACTでELM発生が同期するようにする。2、分布崩壊ない状態での不純物蓄積評価:上記(1)で開発したIMPACTとIMPMCとの結合コードを用いたシミュレーションで、JT-60SAを例に不純物蓄積量を評価する。ただし、計算が重いことが予想されるので、分布崩壊はない状態で評価する。3、分布崩壊による不純物排出性能と不純物蓄積の評価:上記(2)で開発したIMPACTと5点モデルとの結合コードを用いたシミュレーションを行い、まず分布崩壊がない状態で、上記2の結果と比較検証する。検証後、分布崩壊のシミュレーションを行い、分布崩壊による不純物排出性能を評価する。4、緩和した分布崩壊による不純物排出性能と不純物蓄積の評価:上記(2)で開発した結合コードを用いてペレットで緩和した分布崩壊のシミュレーションを行い、不純物排出性能と不純物蓄積を評価する。5、燃料供給と不純物排出と整合した分布崩壊緩和状態における燃焼プラズマ性能評価:これまでに得られた燃料供給と不純物排出と整合した条件で分布崩壊緩和のシミュレーションを行い、核融合エネルギー利得等の燃焼プラズマ性能を調べる。
前年度の未使用額(約20万円)を含めて今年度はほぼ計画的に使用できたが、論文投稿が遅れているのでその投稿料約7万円を次年度に使用する。
論文投稿料として使用する。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 2件)
Plasma and Fusion Research
巻: 10 ページ: 3403062
10.1585/pfr.10.3403062