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2016 年度 実施状況報告書

核融合プラズマの自律系における粒子供給による制御性に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26420863
研究機関国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構

研究代表者

竹永 秀信  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 核融合エネルギー研究開発部門, 室長代理(定常) (60354601)

研究分担者 吉田 麻衣子  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 主幹研究員(定常) (20391261)
坂本 宜照  国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所 核融合炉システム研究開発部, グループリーダー(定常) (30354583)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2018-03-31
キーワード核融合 / 炉心プラズマ / 燃料供給 / ガスジェット / CIP法 / 粒子バランス / 燃料供給シナリオ
研究実績の概要

本研究課題では、核融合炉心プラズマへの粒子供給特性とそれに対する炉心プラズマの応答特性を解明し、核融合炉での燃料供給の最適化に資することを目的としている。平成28年度は、炉心プラズマへの粒子供給法の一つであるガスジェット入射のモデリングを行うため、数値計算プログラムの開発を継続して進めた。密度等のパラメータが急激に変化する系において安定的に数値解析ができるCIP法を適応し、大気中や真空中での流体方程式を解く計算プログラムの整備を継続した。また、原型炉での燃料供給シナリオを検討するために、トカマク装置における粒子制御研究に関する課題を明確にした。原型炉において高密度化は重要な要素であり、乱流輸送モデルに基づき密度分布を予測するとともに、運転領域を明らかにするためにもグリーンワルド密度限界の物理について解明する必要があり、周辺領域を含んだシミュレーション研究が重要である。高密度領域での高閉じ込め性能の維持は依然として課題であり、粒子供給シナリオの最適化やコアプラズマでの閉じ込め改善等によるJT-60SAでの実証が重要であることを指摘した。ダイバータでの熱負荷低減のための不純物による放射冷却シナリオとコアプラズマでの不純物蓄積に関して、密度がピーキングした場合は蓄積しやすいものの、実験で観測された蓄積度程度であれば、影響は大きくないことを示した。これまでJT-60において高密度・高閉じ込め・高放射損失が実現されているのは負磁気シアプラズマであるが、現状では制御性の問題から原型炉での採用は困難であり、採用するためには、制御性の実証が必要であることを指摘した。さらに、燃焼制御のためには、制御シミュレータの開発、必須の計測データの同定、粒子供給に関する必須のアクチュエータの同定が必要であるとともに、トリチウム循環量、粒子の外部循環量と内部循環量の最適化が重要である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

当初の計画では、CIP法を用いたガスジェット入射のモデリングについて、大気中や真空中でのガスジェットの計算を系統的に実施するとともに、プラズマとの相互作用を計算するロジックへ拡張し、プラズマ中の挙動を解明する計画であったが、流体方程式を解くプログラムの開発を進めたものの、ガスジェットの計算ができるところまで進展していない。また、プラズマの応答特性に関しては、熱伝導係数の「変化」を定量的に評価する計画であったが、現時点では定性的な解析に留まっており、トロイダル回転との相関についても十分に解析できていない。研究代表者の平成28年度業務に関して、平成28年4月1日に国立研究開発法人日本原子力研究開発機構において実施していた核融合研究開発の業務が国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構に移管されたことに伴い、移管前後の様々な調整業務に役職として時間を割く必要があったことから多忙を極め、当初計画に比べ十分な進捗を得ることができなかった。

今後の研究の推進方策

遅れているガスジェットの計算プログラムの開発を加速して進め、大気中や真空中でのガスジェットの入射速度や拡がり等を系統的に計算するとともに、ガスジェットにプラズマからの入熱があった場合の振る舞いを計算できるようにプログラムの改良を行い、実験結果との比較によりプラズマ中の挙動解明を試みる。プログラムの開発に当たっては、国内の関連分野の専門家とも打ち合わせを実施し、助言を得ながら進める。プラズマ過渡応答特性に関しては、JT-60Uの実験データを基にガスジェット入射時のコールドバルスの伝搬について整理し、熱伝導係数の「変化」がどの程度かを定量的に評価する。また、イオン温度とともに、プラズマのトロイダル回転もガスジェット入射時に変化していることが観測されており、イオン温度とトロイダル回転の時間変化に着目し、両者の関連性を明らかにする。これらの成果を基に、ペレット入射実験結果との比較を行い、核融合炉での自律性の強い燃焼プラズマの制御にとって最適化された燃料供給シナリオの概念を構築する。

次年度使用額が生じた理由

研究代表者の平成28年度業務に関して、平成28年4月1日に国立研究開発法人日本原子力研究開発機構において実施していた核融合研究開発の業務が国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構に移管されたことに伴い、移管前後の様々な調整業務に役職として時間を割く必要があったことから多忙を極め、当初計画に比べ十分な進捗を得ることができなかった。そのため、研究成果発表や研究打ち合わせのための旅費等が使用できなかった。

次年度使用額の使用計画

平成29年度において、モデリングの開発やJT-60U実験結果の解析を進めるために必要な物品及び打ち合わせや成果報告のための旅費として使用する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)

  • [雑誌論文] Magnetic shear effects on plasma transport and turbulence at high electron to ion temperature ratio in DIII-D and JT-60U plasmas2017

    • 著者名/発表者名
      M. Yoshida, G. R. McKee, M. Murakami, B. A. Grierson, M. Nakata, E. M. Davis, A. Marinoni, M. Ono, T. L. Rhodes, C. Sung, L. Schmitz, C. C. Petty, J. R. Ferron, F. Turco, A. M. Garofalo, C. T. Holcomb, C. M. Collins, W. M. Solomon
    • 雑誌名

      Nuclear Fusion

      巻: 57 ページ: 056027

    • DOI

      10.1088/1741-4326/aa611e

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] JT-60Uにおける密度分布形成機構のジャイロ運動論解析2017

    • 著者名/発表者名
      成田絵美、本多充、吉田麻衣子、仲田資季、竹永秀信、林伸彦
    • 学会等名
      日本物理学会第72回年次大会
    • 発表場所
      大阪府吹田市 大阪大学豊中キャンパス
    • 年月日
      2017-03-17 – 2017-03-20
  • [学会発表] 原型炉に向けた核融合研究開発の課題と展望2017

    • 著者名/発表者名
      竹永秀信
    • 学会等名
      第20回若手科学者によるプラズマ研究会
    • 発表場所
      茨城県那珂市 那珂核融合研究所
    • 年月日
      2017-03-06 – 2017-03-08
  • [学会発表] トカマク粒子制御研究に関するコメント2017

    • 著者名/発表者名
      竹永秀信
    • 学会等名
      第4回原型炉運転制御に関するシンポジウム
    • 発表場所
      岐阜県土岐市 核融合科学研究所
    • 年月日
      2017-03-02
  • [学会発表] 原型炉概念構築に向けた主要パラメータの検討2016

    • 著者名/発表者名
      坂本宜照、日渡良爾、染谷洋二、朝倉伸幸、宇藤裕康、中村誠、徳永晋介、本間裕貴、三善悠矢、飛田健次、原型炉設計合同特別チーム
    • 学会等名
      プラズマ・核融合学会年会(第33回)
    • 発表場所
      宮城県仙台市 東北大学青葉山キャンパス
    • 年月日
      2016-11-29 – 2016-12-02
  • [学会発表] Physics Approach to Forecasting DEMO Plasma2016

    • 著者名/発表者名
      Y. Sakamoto, K. Tobita, N. Asakura, R. Hiwatari, Y. Someya, H. Utoh, S. Tokunaga, Y. Homma, N. Hayashi, S. Ide, Joint special design team for DEMO
    • 学会等名
      4th IAEA DEMO Programme Workshop
    • 発表場所
      Karlsruhe Institute of Technology, Karlsruhe, Germany
    • 年月日
      2016-11-15 – 2016-11-18
    • 国際学会
  • [学会発表] Magnetic shear effects on plasma transport and turbulence at high electron to ion temperature ratio in DIII-D and JT-60U plasmas2016

    • 著者名/発表者名
      M. Yoshida, G. R. McKee, M. Murakami, C. M. Collins, E. M. Davis, J. R. Ferron, A. M. Garofalo, B. A. Grierson, C. T. Holcomb, A. Marinoni, M. Nakata, M. Ono, C. C. Petty, T. L. Rhodes, L. Schmitz, W. M. Solomon, C. Sung, F. Turco
    • 学会等名
      26th IAEA Fusion Energy Conference
    • 発表場所
      京都府京都市 国立京都国際会館
    • 年月日
      2016-10-17 – 2016-10-22
    • 国際学会
  • [学会発表] Progress of DEMO physics design study in Japan2016

    • 著者名/発表者名
      Y. Sakamoto, H. Utoh, H. Takase, K. Hoshino, N. Asakura, T. Wakatsuki, S. Tokunaga, Y. Homma, N. Aiba, A. Matsuyama, N. Hayashi, S. Ide, K. Tobita and Joint Special Design Team for Fusion DEMO
    • 学会等名
      29th Symposium on Fusion Technology
    • 発表場所
      the Prague Congress Centre, Prague, Czech Republic
    • 年月日
      2016-09-05 – 2016-09-09
    • 国際学会

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公開日: 2018-01-16  

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