研究課題/領域番号 |
26420867
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
竹田 敏一 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 特任教授 (30116058)
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研究分担者 |
松本 英樹 福井大学, 附属国際原子力工学研究所, 客員教授 (80607276)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 軽水炉 / プルトニウム燃料 / トリウム燃料 / 感度係数 / 不確かさ評価 |
研究実績の概要 |
平成27年度は平成26年度に引き続き格子系感度係数計算コードSAINTの整備を行うと共に、平成26年度に実施したウラン燃料格子系に加え、プルトニウム燃料MOX格子系、トリウム燃料MOX格子系の核特性の感度解析・不確かさ解析を実施した。プルトニウム燃料格子系としてはプルトニウム濃縮度が9.8%のPuO2-UO2燃料を考え、トリウム燃料格子系としてはThO2が73%、残りが20%濃縮のUO2燃料を考え、感度および不確かさ評価を行った。両格子系ともJENDL-4.0で計算した感度係数はENDF/B-VIIおよびTSUMAMIで計算した結果とよく一致することを確かめた。しかしながら、実効増倍率の不確かさを比較すると、大きな差が見られた。Pu-MOX格子系ではJENDL-4.0による不確かさは0.83%dk/kとなり、その内訳をみるとPu-240捕獲断面積の寄与が0.56%dk/kと大きかった。ENDF/B-VIIではPu-240捕獲断面積の寄与は0.16%dk/kと小さくなった。Th-MOX格子系ではJENDL-4.0を用いた不確かさは2.26%dk/kにもなった。この大きな不確かさの原因はTh-232捕獲断面積の2.22%dk/kの大きすぎる寄与による。ENDF/B-VIIではTh-232捕獲断面積の寄与は0.3%dk/kで、全体の不確かさも0.76%dk/kとJENDL-4.0に比べると小さい。このように、JENDL-4.0の共分散データは特にトリウム燃料格子系の不確かさ評価の適用には問題点があることが分かった。反応度係数に対してはこれほどの大きな差は見られなかった。 さらに平成27年度は燃料集合体及び炉心体系の感度係数を計算する手法の導出を行った。 手法として、まず燃料集合体の少数群マクロ断面積の多群ミクロ無限希釈断面積に対する感度係数を求める。この計算には中性子束の多群ミクロ断面積に対する感度を用いる。次に、炉心特性の少数群マクロ断面積に対する感度を計算し、両感度係数を結合して、炉心特性の多群ミクロ断面積に対する感度係数を求める方法である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
順調にプルトニウム及びトリウム燃料格子系の感度解析・不確かさ解析を終了した。今年度の結果より、プルトニウム燃料格子系の実効増倍率に対するJENDL-4.0を用いた不確かさ解析ではPu-240捕獲断面積の寄与が大きく、トリウム燃料格子系の実効増倍率に対する不確かさは2.2%dk/kにもなり、その内訳を見るとTh-232捕獲断面積の寄与が殆どであり、ENDF/B-VIIの結果とは大きく食い違っていたことが分かった。
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今後の研究の推進方策 |
平成27年度以降は軽水炉炉心特性の感度解析・不確かさ解析を実施する。このため、平成27年度に導出した方法により、PWR炉心の核特性、とくに実効増倍率に対する不確かさを評価し、その不確かさがどの核種のどの反応により生じるかを解析する。このため、共同研究者となっている三菱重工の松本氏とも相談し、どのような炉心と解析の対象とするかについて打ち合わせ、それに基づき計算を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた謝金および旅費について、研究協力者の出産のため執行が減となった。そのため必要となる消耗品の購入に振り替えたが端数が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
消耗品を購入予定
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