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2014 年度 実施状況報告書

液体に溶存するネプツニウムの陽イオン-陽イオン相互反応に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 26420869
研究機関京都大学

研究代表者

藤井 俊行  京都大学, 原子炉実験所, 准教授 (10314296)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードネプツニウム / ウラン / ラマン分光分析
研究実績の概要

平成26年度は、分光分析装置の基礎特性及び分子軌道計算の妥当性を、ウランを含有する液体試料を用いて評価した。また、ネプツニウムの標準溶液の放射能分析を行った。
ウランを用いた試験について、実験系は塩化物系とした。天然ウランの酸化物、八酸化三ウランを出発原料とした。塩酸を用いて八酸化三ウランを溶解・乾固し、化学形を塩化ウラニルに調整した。溶媒として、アルカリ元素の塩化物及びアルカリ土類元素の塩化物を用い、それぞれの濃厚溶液を調製した。乾固した塩化ウラニルを、調製した塩化物溶液に溶解した。
調製した試料を用いて吸光分光分析を行った。分析装置は現有設備の紫外可視近赤外吸光分光光度計(島津製作所製、UV-3100PC)を使用した。紫外可視領域の吸光ピークを詳細に評価し、振動準位を含む、ウランの遷移状態を評価した。測定した遷移エネルギーを文献値と比較し、分析の再現性を確認した。同じ試料についてラマン分光分析を行った。分析装置は現有機器(日本分光製、NRS-3100)を使用した。ウラニルイオンのO=U=O分子の対称伸縮振動に着目し、ラマンシフトを測定した。測定から得られたO=U=O分子の振動エネルギーを文献値と比較し、分析の再現性を確認した。分子振動エネルギーは系中の塩素濃度の増加に伴い減少することが明らかになった。このことはすなわち、ウラニルイオンの赤道面の水和水が塩素イオンで置換されることにより、O=U=O分子の対称伸縮振動エネルギーが緩和されていることを意味する。
水和した塩化ウラニル分子について、計算化学的手法を用いてラマン分光分析結果を説明した。O=U=O分子の対称伸縮振動エネルギーを計算したところ、ウラニルイオンの赤道面の水和水が塩素イオンで置換されることにより、O=U=O分子の対称伸縮振動エネルギーが減少する結果となった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

予定していたネプツニウム原料の分析を行った。また、予定していたウランの分光分析及び計算化学評価を行った。研究実施計画の内容を履行した。

今後の研究の推進方策

平成27年度は、ネプツニウム原液を用いて試料調製を行い、吸光分光分析及びラマン分光分析を行う。平成26年度に得られたウラニル錯体の分析結果と比較し、電子配置の違いによる錯生成の差異を考察する。平成28年度は、ネプツニウムを用いた分光分析実験と計算化学評価を継続して行い、総合的な考察を行う。研究計画の変更はない。

次年度使用額が生じた理由

本研究課題と関係する放射化学の国際学会が平成27年度に企画されたため、学会への参加費用として次年度使用額とした。

次年度使用額の使用計画

次年度使用額については、主に平成27年度に企画されている本研究課題と関係する放射化学の国際学会の学会参加費用、及び石英分光セルなどの研究物品費として使用する。平成27年度分として請求している助成金は当初計画に従い、研究に使用する。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2015

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Theoretical and Experimental Study of the Vibrational Frequencies of UO22+ and NpO22+ in Highly Concentrated Chloride Solutions2015

    • 著者名/発表者名
      Toshiyuki FUJII, Akihiro UEHARA, Yoshihiro KITATSUJI, and Hajimu YAMANA
    • 雑誌名

      J. Radioanal. Nucl. Chem.

      巻: 303 ページ: 1015-1020

    • DOI

      10.1007/s10967-014-3340-6

    • 査読あり / 謝辞記載あり

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公開日: 2016-05-27  

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