研究課題/領域番号 |
26420870
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
沈 秀中 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (20362410)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 燃料集合体内気液二相流 / ボイド率 / 界面積濃度 / ドリフトフラックスモデル / 界面輸送モデル / 気液二相流計測 / データベース構築 / 国際研究者交流 |
研究実績の概要 |
軽水型原子炉炉心燃料集合体(ロッドバンドル)内気液二相流特性を予測可能なモデルを開発する目的を実現するために、平成26年度は初年度として以下の実験研究と理論開発を実施した。 (1)流れの発達過程が流動特性に及ぼす影響を検証可能なロッドバンドル内低流速気液二相流の実験ループを京都大学に新たに設置した。(2)スケーリング手法を用いて、軽水型原子炉炉心の模擬燃料集合体試験部を新規設計と製作した。そのチャンネルボックスの断面は10cm×10cmで、高さは3mである。その中には6×6ロッドバンドル(ロッド径10mm、ロッド間最小間隔6.7mm)が設置された。試験部の入口と出口には、それぞれ気液混合器と気液分離器が設置された。試験部流れ方向の三個所(高さ0.75m、1.75mと2.75m)には4センサー・プローブの取り付け部を設計・製作・作動確認した。(3)差圧計と気液二相の流量計を含む計測系を設置し、差圧計を用いてロッドバンドル内空気―水気液二相流の流れ方向の局所圧力損失を計測し、流れ方向の断面平均ボイド率と圧力損失のデータベースを構築した。(4)高速度カメラの撮影と照明システムを整備し、ロッドバンドル内空気―水気液二相流に対する画像計測を実施し、流動様式など気泡挙動と特性のデータベースを構築した。(5)既存ロッドバンドル二相流のボイド率、圧力損失等のデータ及びモデルを収集し、本年度研究で取得したデータとの比較と適用分析を行った。(6)今後使用予定の4センサー・プローブ計測法の検証と理論改良を行った。(7)本研究の一部として、断面10cm×10cmと高さ3mの空チャンネルボックスの空気―水気液二相流の実験データを取得し、大口径管内気液二相流の流動特性解析を行った。(8)本年度の研究成果は国内外学術講演会で発表し、国際学術ジャーナルにも投稿と発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、実験実施環境を概ね整えることが完了しており、初年度のロッドバンドル内気液二相流の断面平均ボイド率と圧力損失データの取得ができた。それに関連する既存の基礎データとモデルに関する収集・検討も概ねできた。この結果、当初計画どおり、次年度以降は4センサー・プローブの詳細計測によるデータベースの構築及び低流速ドリフトフラックスモデルと界面輸送モデルの開発作業に問題なく移行できることから本判定とした。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画どおり研究が進展しており、このまま計画通りに研究を遂行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、ロッドバンドル内気液二相流の圧力損失計測に必要な複数台の液体差圧センサーを全部新たに購入する予定だったが、現有の部品をその一部液体差圧センサーとしての再利用ができ、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
平成26年度生じた次年度使用額を含む平成27年度の請求助成金の使用計画は以下のとおりである。 実験においては、4チャンネルの光ファイバー計測アンプとプローブの部品購入と製作費、流動ループ装置と流動計測系統の維持費等に充てるとともに、実験結果記録用媒体の購入費と実験補助者への謝金として使用する予定である。一方、モデル開発においては、国内外研究調査及び困難が生じた時海外共同研究者の援助を得るための招聘打ち合せを予定している。また、得られた研究成果を学会等にて発表するための出張旅費と参加費として使用することも考えている。
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