軽水型原子炉炉心燃料集合体(ロッドバンドル)内複雑な気液二相流の流動特性を予測可能なモデルを開発する目的を実現するために、平成28年度は以下の実験研究と理論開発を実施した。 (1)既存の日本カノマックス社製光ファイバーアンプは再入手不可で、現在老朽化により故障多発しているため、4センサー・プローブの新しい光ファイバーアンプの開発を行った。(2)ロッドバンドル試験部の二個所において、4センサー・プローブを用いた気液二相流の実験を実施し、ボイド率、界面積濃度、気泡速度、気泡径などの流動特性値データを取得した。(3)流動様式の観察整理と実験データの解析によりロッドバンドル内気液二相流の流動特性とスペーサーの影響を纏めた。(4)燃料集合体の大口径正方形のチャンネルバックス内気液二相流の詳細な解析を実施した。(5)ロッドバンドル内気液二相流を複数サブチャンネルに区切り、実測データに基ついた流動特性分布を仮定し、ドリフトフラックスモデルの定義から分布パラメータとドリフト速度の解析を行い、そのボイド率予測検証を実施した。(6)実験で測定した気泡を大小気泡の二群に分類して整理した。それにより、それぞれ群の気泡のボイド率モデルと界面積濃度モデルを開発し、ロッドバンドル内気泡流からチャーンまでの気液二相流に適用できる二群気泡の界面積濃度輸送予測モデルを新しく開発・検証した。(7)ロッドバンドル内気液二相流シミュレーションのコードの予測能力を飛躍的に向上するため、二群界面積濃度輸送方程式と関連する気泡合一・分裂モデルを気液二相流の二流体モデルに導入し、数値計算を実施した。それにより、ロッドバンドル内気液二相流解析において界面積濃度輸送方程式のネックと今後課題を確認した。(8)本年度の研究成果は国内外学術講演会で発表し、国際学術ジャーナルにも投稿・発表している。
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