研究課題/領域番号 |
26420872
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
山岡 聖典 岡山大学, 保健学研究科, 教授 (00314683)
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研究分担者 |
片岡 隆浩 岡山大学, 保健学研究科, 助教 (40509832)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 自己組織化マップ / ラドン / アルコール / 酸化ストレス / 肝臓 |
研究実績の概要 |
本研究課題では,低線量放射線の健康不安を払拭するため,放射線により受ける酸化ストレスを他の環境因子から受けるそれと比較定量化し,日常生活に関連づけることにより,公衆が低線量放射線の健康影響を分かりやすく理解することに資することが目的である。 平成27年度では,マウスにアルコールを0.5g/kg,2.0g/kg,5.0g/kg体重のアルコールを投与,また,2000Bq/m3のラドンを24時間吸入させ,肝機能と肝臓中の抗酸化機能により肝臓中の酸化ストレスを評価した。その際,酸化ストレスの比較結果を視覚化することを目的とし,自己組織化マップ(SOM)を用いて評価した。 その結果,SOM上では,5.0g/kg体重のアルコール投与は明らかな酸化ストレスを示したが,2000Bq/m3のラドン吸入は0.5g/kg体重のアルコール投与に相当する酸化ストレスを受けていることが明らかとなった。肝機能の結果より,0.5g/kg体重のアルコール投与は急性アルコール肝障害を及ぼさないことも明らかとなり,本実験条件下でのラドン吸入は微量の酸化ストレスを及ぼしていることが示唆できた。以上より,微量酸化ストレスの評価にSOMが有効であることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アルコール投与とラドン吸入による酸化ストレスを定量評価するため,自己組織化マップを活用した結果,統計では見えない差でも視覚化できることがわかった。また,その結果として,本実験条件下でのラドン吸入に伴う酸化ストレスは0.5g/kg体重のアルコール投与に相当することがわかったことから,比較的小さい酸化ストレスしか受けていないことがわかったため。
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今後の研究の推進方策 |
ラドン吸入の濃度依存性およびX線照射についても同様に検討し,アルコールによる酸化ストレスと放射線による酸化ストレスをより明確にする。その際,酸化を受け易い箇所についても特定することで,アルコールによる酸化ストレスと放射線による酸化ストレスの違いについても明確にする。
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