研究実績の概要 |
ガンマ線と原子核との共鳴蛍光散乱現象を利用した同位体の識別手法を検証するための基礎データとなる、ガンマ線誘起核反応断面積データベースを開発し、これを同位体識別に有用な共鳴レベルの選別に利用するために、以下の研究を実施した。 使用済核燃料の組成としては、UO2燃料及びMOX燃料を用いたPWR及びBWRにおいて、取り出し燃焼度が30から60GWd/tHMのときの核種組成を採用した。この使用済核燃料組成を再現するために、U-238, U-235, Pu-239に加えて、AmやPu、Cm同位体等の核共鳴蛍光散乱データ及び核構造データベースより励起レベルデータを収集し、共鳴レベルを取り出して断面積を計算した。 共鳴断面積データよりも高いエネルギー領域の断面積は前年と同様に核反応計算コードCCONEを使用し、ガンマ線強度関数については修正ローレンツ型を採用した。評価計算では、光中性子放出断面積等のデータを再現するようにガンマ線強度関数を調整し、上限エネルギーが60MeVまでのガンマ線誘起反応断面積を導出した。 得られたアクチノイド及び構造材核種の断面積データを使用して、上述した燃料・炉型・取り出し燃焼度の組成を持った対象物に対し、検査対象核種の共鳴断面積ピークが判別可能かどうか検討した。組成は、U-238含有量を1に規格化し、他の核種についてはU-238に対する相対組成とした。収納容器は鉄やニッケル、鉛等で構成されていると仮定し、この条件下で、アクチノイド等の検査対象核種に対して、他の核種の断面積により遮へいされない、識別に有用な共鳴レベルをすべて抽出した。
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