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2016 年度 実績報告書

うつ病の行動異常及び睡眠障害に共通した神経回路病態の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26430008
研究機関広島大学

研究代表者

相澤 秀紀  広島大学, 医歯薬保健学研究院(医), 教授 (80391837)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードうつ病 / 睡眠 / 手綱核 / モノアミン
研究実績の概要

これまでに手綱核の過剰活性化を示すマウスがうつ病様行動異常とともに、レム睡眠の脱抑制を示すことを報告した。外側手綱核はドーパミンやセロトニンなどのモノアミン作動性細胞の豊富な脳幹部へ直接的および間接的な神経結合をもっており、外側手綱核は脳内におけるこれらモノアミン代謝の修飾を介して行動や睡眠活動へ影響を与えると考えられる。興味深いことに、哺乳類の手綱核神経細胞はノンレム睡眠時には持続性の発火パターンを示すのに対し、動物がレム睡眠へ入ると5-8 Hz程度のシータ領域で律動活動を示す様になる。モノアミン神経系の高次中枢に位置する手綱核がレム睡眠と同期して示すこれらの律動活動は、睡眠の制御に関与する可能性が高い。実際、報告者の以前の研究によるとラットにおける手綱核破壊実験ではレム睡眠持続時間の減弱を示していた。
この問題に取り組むため、本年度は外側手綱核における活動パターンが前脳におけるモノアミン放出に与える影響を調べた。外側手綱核へ光遺伝学的プローブChR2-EGFPをアデノ随伴ウイルスベクターにより導入し、持続的およびシータリズムによる手綱核活性化した。モノアミン放出に与える影響は前年度までに開発した電気化学的モノアミン測定法(ボルタンメトリ法)を応用し腹側線条体におけるドーパミン放出量を定量的に評価した。実験の結果、持続的な手綱核の活性化はドーパミン放出の一時的な減少を引き起こした。一方、興味深いことにシータリズムにおける律動的な手綱核の活性化は、線条体におけるドーパミン放出の減少を多くの場合引き起こさず、むしろ一時的な増加が観察された。
これらの事実は手綱核からドーパミン作動性神経細胞へ至る経路が複数存在することによると考えられ、今後の研究により経路特異的な脳内ドーパミン代謝の制御機構が解明されるものと期待される。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Gene cassette knock-in in mammalian cells and zygotes by enhanced MMEJ.2016

    • 著者名/発表者名
      Aida T, Nakade S, Sakuma T, Izu Y, Oishi A, Mochida K, Ishikubo H, Usami T, Aizawa H, Yamamoto T, Tanaka K.
    • 雑誌名

      BMC Genomics.

      巻: 17 ページ: 979

    • DOI

      10.1186/s12864-016-3331-9

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Impaired striatal dopamine release in homozygous Vps35 D620N knock-in mice.2016

    • 著者名/発表者名
      Ishizu N, Yui D, Hebisawa A, Aizawa H, Cui W, Fujita Y, Hashimoto K, Ajioka I, Mizusawa H, Yokota T, Watase K.
    • 雑誌名

      Hum Mol Genet.

      巻: 25 ページ: 4507-4517

    • DOI

      10.1093/hmg/ddw279

    • 査読あり
  • [学会発表] ゲノム編集技術を用いた成体脳におけるドーパミン受容体の機能解析2017

    • 著者名/発表者名
      相澤秀紀、崔万鵬、相田知海、伊藤日加瑠、小林憲太、加藤成樹、和田悠作、中野高志、田中光一、伊佐正、小林和人
    • 学会等名
      第122回日本解剖学会総会・全国学術集会
    • 発表場所
      長崎市
    • 年月日
      2017-03-28 – 2017-03-28
  • [学会発表] ストレス感受性におけるモノアミン制御経路の役割2016

    • 著者名/発表者名
      相澤秀紀
    • 学会等名
      第38回日本生物学的精神医学会・第59回日本神経化学会大会
    • 発表場所
      福岡市
    • 年月日
      2016-09-10 – 2016-09-10
    • 招待講演
  • [学会発表] ゲノム編集によるマウス成体脳の遺伝子改変2016

    • 著者名/発表者名
      相澤秀紀
    • 学会等名
      第39回日本神経科学大会
    • 発表場所
      横浜市
    • 年月日
      2016-07-21 – 2016-07-21
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Role of the habenula in murine stress-coping behaviors2016

    • 著者名/発表者名
      Aizawa H.
    • 学会等名
      Lateral habenula under the spotlight
    • 発表場所
      Paris, France
    • 年月日
      2016-06-06 – 2016-06-06
    • 国際学会 / 招待講演
  • [備考] 広島大学医歯薬保健学研究科神経生物学

    • URL

      http://http://home.hiroshima-u.ac.jp/neurobio/

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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