発育期のうま味摂取刺激による攻撃性減少のメカニズムの解析を進めた。攻撃性という情動行動の変化について、血圧変動、うまみ物質グルタミン酸ナトリウム(MSG)による脳障害、腸内細菌叢の変化という視点から解析を進めた。 生後25日から60日までの5週間、MSGを経口摂取させた場合には、血圧変動に大きな影響を与えなかった。MSGの経口摂取により血中の遊離グルタミン酸濃度の上昇は認められず、さまたin vivoにおいて神経傷害を与えないことがArgyophil III染色法により確かめられた。生後25日での横隔膜下の胃迷走神経切断によりMSG経口摂取による攻撃性減少が消失した。 このことから、MSG摂取による腸内細菌叢の変化とそれに伴う胃迷走神経からの脳への刺激入力の重要性が示された。そのため、腸内細菌層の変化を自閉症に関係するフラジリス菌に焦点を絞り、その発現変化を調べた。さらに、MSGによる特異的な迷走神経発火の増加の有無について解析をした。 その結果、発育期のMSG摂取によりBacteroides Acidifacilisの発現が小腸および大腸において著しく変化することが明らかになってきた。現在より網羅的な解析を進めている。一方、胃迷走神経活動の神経発火の解析では、記録条件を確立に精力を注ぎその条件がほぼ整った。
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