研究課題
本研究プロジェクトの目的は、メダカなど集団で生活をする動物の社会性行動の発現メカニズムを明らかにすることにある。そのために本物そっくりな外見と動きをもつバーチャル(VR)動物との対面実験を行い、VR動物の各種パラメータを操作することによって、社会性行動を引き起こす視覚的な要因を明らかにする。本年度は最終年度にあたり、主として論文報告のための詰めの実験及び論文発表を行った(PLos ONE誌)。コンピュータグラフィクスの利点を活かして、形・色・動きを操作したVRメダカを作成し、本物のメダカとの対面実験を行った。結果、メダカはすべての視覚パラメータを統合的に利用して同種他個体の認識を行っていることが示唆された。さらに、同システムを広く応用していくために、基礎生物学研究所の客員部門の吉村研究室との共同研究を行い、これも論文としての報告を行った(Nature Communication誌)。メダカは季節性の動物であり、季節によって行動パターンを変えることが知られている。本研究では、その原因として視覚的な要因が大きな影響を与えていることが示唆された。また、次期プロジェクトの一環として、深層学習を利用した視覚認知実験も行い、これも論文としての報告を行った(Frontiers in Psychology誌)。深層学習機に大脳モデルのひとつである予測符号化理論を組み込み、ヒトや魚が知覚すると報告されている蛇の回転錯視を基準にして正しく錯視として知覚するかどうかを検証した。結果、深層学習機は左右の回転、あるいは無回転の知覚を正確に再現することに成功した。今後、本研究で提案した逆心理学が幅広い分野に浸透していくと期待している。いずれの研究もプレス発表を行い、新聞報道や雑誌などで大きな反響を得た。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (3件) 備考 (3件)
Frontiers in Psychology
巻: 9 ページ: 1-12
10.3389/fpsyg.2018.00345
PLoS ONE
巻: 12 ページ: 1-17
10.1371/journal.pone.0175059
Nature Communication
巻: 8 ページ: 1-7
10.1038/s41467-017-00432-8
http://www.nibb.ac.jp/press/2017/04/12.html
http://www.nibb.ac.jp/press/2017/09/04.html
http://www.nibb.ac.jp/press/2018/03/20-2.html