研究課題
これまでの我々の研究から上側頭溝高次視覚野の細胞が他個体の行動目的をコーディングしていることがわかってきている。その神経メカニズムを調べるためにインプット領域として考えられる前頭葉の破壊実験を行った。神経細胞を不可逆的に破壊するイボテン酸を、眼窩前頭皮質を含む大きな領域に注入し、注入前後の上側頭溝皮質の細胞活動を記録した。その結果、上側頭溝皮質の一部の細胞はイボテン酸注入後に細胞活動が減少したことが分かった。さらに組織学的な実験により確かにイボテン酸がターゲット領域に注入されていることを確認した。しかし、その減少が報酬に関する情報を反映しているものかどうかを検討するにはムシモル等を用いた実験がさらに必要である。上側頭溝高次視覚野にどこから報酬に関する情報が送られているのかを調べるために全脳に留置した96チャンネルECoG実験を行った。覚醒状態のマーモセットの前で、ヒトが餌をとったり、とるふりをしたりする演技をすることで応答がどう変化するかを調べた。またマーモセットの行動ビデオから運動情報だけを抜き出すアルゴリズムを作成した。これによりマーモセットの複雑な運動情報を反映する視覚刺激を作成し、上側頭溝高次視覚皮質の細胞反応を調べた。研究期間内では社会行動課題を行わせるまでには至らなかったが、マーモセットにおけるミラーニューロンシステムのメカニズムを様々な手法により調べることができるようになった。今後その機能的役割を検討する研究するうえで、重要な貢献ができたものと考える。
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