研究実績の概要 |
目的:一定の間隔を持つ異なる連続音を識別するようにモルモットを訓練し、条件付けした時間間隔と他の対照間隔を示す音に対する聴覚皮質の活動の違いを見出すことを研究目的とした。連続提示する個々の音セグメントは周波数構成において全て同一である事が、セグメント間の無音時間(ISI)が刺激音により異なるため、異なるISI刺激音を識別するには時間情報に依存することになる。この時間情報の脳内表現がどのようになっているかを見出す。平成28年度は研究計画の申請最終年に該当する。 行動実験:約100ms長の自然音セグメントを条件音では約1100msのISIとし、他の刺激音ではその10あるいは20%とした(速いtempoの音)。また全体の音の長さをほぼ同じ長さ(約10秒)になるように再生音セグメント数を設定。2週間訓練個体では10%、20%短ISI音をほとんど識別できなかったが、3-4週間の訓練で条件間ISIと短ISI試験音を識別できるようになった。3週間訓練より4週間訓練群のほうが10%、20%短間隔音の識別成績は良かった。 イメージング実験:対照非訓練動物では、10%-ISI音に対し一次聴覚皮質は最初の数セグメントのみに応答したが、20%-ISIや100%(条件音)-ISI音には全てのセグメントに応答した。2週間訓練動物では、20%-ISI音に対して最初の数セグメントを除き応答は減衰した。100%-ISIでは全てのセグメントに応答した。3、4週間訓練動物では、10%, 20%-ISI音に対して最初の数セグメントに加え、その後のセグメントにも応答を示し、また100%-ISI音で全てのセグメントに応答した。これらの結果は、ISIの異なる音の識別訓練により、識別すべき短ISIの遅いセグメント部分にまで応答が延長されるようになったことを示唆。
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