研究課題
平成27年度の報告書で、KCC2ノックアウトマウスのヘテロでは切断後の顔面神経機能の回復が早まり、一方で、VGATノックアウトマウスのヘテロでは機能回復が遅延することを示した。さらに、顔面神経切断・縫合後、コリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)とカリウム・塩素・共輸送体(KCC2)、カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)の3種の発現変化が、顔面神経機能の回復と関連が有ることを示した(現在、論文投稿中)。平成28年度は、この結果を受けて、(1)顔面神経の機能回復速度について、追試実験を行い、昨年まで得られた行動解析のデータの正しさを裏付ける。(2)ヘテロマウスにおけるマーカー分子の発現変化が、正常マウスでの変化と異なり、顔面神経機能の回復速度とパラレルになっているかを解析する。(3)舌下神経の切断・縫合モデル(Tatetsu et al. 2012)を用いて、マーカー分子の発現変化がヘテロと野生型で異なるかを解析した。その結果は以下の通りである。(1)VGATノックアウトマウスのヘテロにおいて、顔面神経機能の回復が遅延した。(2)KCCノックアウトマウスのヘテロでの神経機能回復は、個体によってばらつきが多く、同様の結果は得られなかった。(3)顔面神経核と舌下神経核でのマーカー(ChAT,KCC2,CGRP)発現の変化を、VGATノックアウトマウスのヘテロと野生型マウスで比較したが、両者で顕著な差は得られなかった。(4)顔面神経核と舌下神経核でのマーカー発現の変化を、KCC2ノックアウトマウスのヘテロと野生型マウスで比較したが、両者で顕著な差は得られなかった。以上の結果から、行動解析の結果からGABAが機能的回復に関与することは示唆されるが、マーカーの変化では裏付けられなかったため、今後さらなる精査が必要であることが明らかになった。
すべて 2017 2016 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (7件) 備考 (1件)
Neuroscience
巻: 343 ページ: 459-471
10.1016/j.neuroscience.
Biochem Biophys Res Commun.
巻: 482(4) ページ: 1327-1333
10.1016/j.bbrc.2016.12.036.
Neuroscience Research
巻: 105 ページ: 42-48
10.1016/j.neures.2015.09.003.
http://molanatomy.blogspot.jp/