ドーパミン‐GABA糸球体近傍ニューロン(DA-GABA JG ニューロン)についていくつかの方法で形態解析を進めた。 まず第1は、鼻孔閉鎖による機能的入力除去を行った嗅球での解析を行った。機能的入力除去によりドーパミン合成酵素チロシン水酸化酵素TH陽性ニューロンが減少する。そのため嗅球の部位によっては比較的少数の残存したTH陽性ニューロン個々の突起が区別できる。このような嗅球を用いてニューロン形態の解析、特に、糸球体内での突起の詳細な解析が行えるようになった。以前の実験から得たラットの機能的入力除去嗅球のTH陽性ニューロンと新たに実験したマウスの機能的入力除去嗅球のTH陽性ニューロンの両者を比較しながら解析を進めた。鼻孔閉鎖による機能的入力除去により残存しているTH陽性ニューロンは多様であるが、明らかに糸球体にタフト様の突起を有するいわゆる傍糸球体細胞 PG cellと考えられるニューロンも観察できた。 第2に、生体で脳定位固定装置を用いてトレーサーとしてビオチン化デキストランBDAをごく少量、電気泳動的に嗅球糸球体層に限局して注入し、嗅球糸球体近傍のニューロンを標識した。やはり多様なニューロン群が観察でき、蛍光多重染色によりTH陽性ニューロンも確認できた。その中には傍糸球体細胞 PG cellとは異なり、樹状突起と考えられる突起を横に伸ばし複数の糸球体を通過しているニューロンも見られた。実験手法により観察されやすいニューロン群が異なるようで、いくつかの手法を組み合わせて多様なニューロン群を解析する必要性が示唆された。
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