研究課題/領域番号 |
26430042
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
榊原 伸一 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70337369)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ニューロン / オリゴデンドロサイト / アクチン細胞骨格 / 神経系前駆細胞 / radmis / Filippi症候群 |
研究実績の概要 |
我々が神経系前駆細胞に発現する新規遺伝子として同定したMG46 はInkaドメイン(神経堤細胞の移動に機能すると考えられているInka1と類似の機能不明ドメイン)を持つことから、細胞移動などに関与することが推定される。in situ hybridizationの結果から,MG46 mRNAは胎生期延髄,脊髄の腹側部脳室周囲のオリゴデンドロサイト前駆細胞に発現し,移動を終えたオリゴデンドロサイトやニューロンでは発現が消失する。興味深いことに、成体の脳においてMG46は前脳領域のニューロンにおける強い発現が観察された。in vivo強制発現によりNSPCはアクチン骨格の変化により細胞形態が球状に変化させ,細胞移動に異常が見られた。以上の結果からMG46は遊走中のNSPC細胞や終分化ニューロンにおいてアクチン骨格系の制御する新たな分子であると推定された。さらにMG46タンパク質と相互作用する分子をプロテオーム解析により同定したところ、アクチン骨格再編成に関わるタンパクが複数同定された。現在、MG46がどのようにこれらの分子と相互作用し、アクチン再編成系を制御しているのかを検討している。 一方、他の新規遺伝子として我々が同定したradmis (radial fiber associated mitotic spindle protein)は中枢神経系に強く発現する新規の微小管関連タンパク質であり,胎児期および成体脳の側脳室周囲のNSPCの放射状細胞突起と細胞分裂時の紡錘体に局在する。本年度はradmis遺伝子がヒトの遺伝的奇形であるFilippi症候群の責任遺伝子であることを明らかとした。Filippi症候群は小頭症、精神遅滞、合指症を特徴とする常染色体劣性遺伝の奇形であり、南アジア、ヨーロッパの複数に複数の家系が存在する。本年度我々はドイツのケルン大学Nurnberg博士との共同研究によりこれらの家系の解析をおこない、radmis遺伝子の複数の部位での変異とタンパク質欠損を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
26年度に計画していたMG46タンパク質の発現パターンの解析については、現在抗体の作製を終えて詳細な免疫染色を実施しているところである。またMG46ノックアウトマウスの作製、解析についても相同組換えES細胞をすでに入手しており、現在連携研究者の徳永博士がキメラマウスを作製中であることから、研究は順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
MG46発現を抑制するためのshRNA発現ベクターを構築し,NSPCや各種株化細胞に電気穿孔法により導入する。その後細胞の形態変化,移動距離の変化、各種細胞骨格関連タンパク質の発現変化を解析することで,MG46がアクチン細胞骨格再編成において果たす役割を解明する予定である。さらに次年度以降もMG46欠損ノックアウトマウスを作製を進める予定である。MG46にはファミリー遺伝子がなく,またMG46と一部類似のドメインを持つInka1のノックダウンXenopusでは神経堤細胞の遊走異常による顔面頭蓋の低形成を示すことから,MG46欠損では,中枢神経系での何らかの細胞移動異常の表現型が現れると考えられる。さらに成体の前脳ニューロンに発現が認められることから、胎生期、成体脳の組織学的な表現型解析を進める。一方、radmis遺伝子についても共免疫沈降法・プロテオーム解析を行い、相互作用するタンパク質を同定する予定である。これによりradmisがNSPCの放射状細胞突起形成時あるいは細胞分裂時の紡錘体形成にどのような機能を持つのか推定できると期待する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度においてES細胞の輸入に時間がかかり、そのため計画していた関連消耗品、試薬などの支出が当初予定より少なくなったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度にはES細胞関連、ノックアウトマウス作製を加速して進める予定である。そのため次年度は関連する試薬、消耗品等の支出が増えることかが予想され、繰り越した予算については予定どおり使用する。
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