研究実績の概要 |
まず、過剰摂取された果糖の脳内移行に必要な輸送体の脳内局在を明らかにすべく検討した結果、GLUT5が脈絡叢の上皮細胞と上衣細胞に局在すること(Neuroscience, 2014, 160, 149-157)と、さらに、GLUT8も同部位に局在することを見つけ、現在、論文作成中である。また、GLUTだけでなく様々な輸送体が、上記部位に存在することもあわせて明らかになりつつある。これで、果糖をはじめとした様々な物質が血管を介してだけでなく脈絡叢を介して脳内移行しうることとその機序が明らかになりつつある(Histochem Cell Biol 2015, 144, 597-611)。さらに、in vitro実験として、神経細胞をはじめとした培養細胞に対する果糖の投与実験を行い、果糖がラット由来海馬初代培養神経細胞に対する生存率を軽度ながら減少させることが明らかになりつつある。また、GLUT8がアストロサイトに局在することからは、果糖は、アストロサイトを介して神経神経細胞に影響を与えている可能性が推測される。現在も、果糖の神経細胞やグリア細胞に対する効果を検討し続けている。
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