アルツハイマー病(AD)では、脳内アミロイドβ蛋白(Aβ)蓄積の機構の解明が重要な課題となっている。中年期の高血圧症はADの危険因子とされており、臨床疫学研究では降圧剤投与が認知障害の発症を抑制という結果が報告されている。しかし、一部の降圧剤は、ADの発症を増悪するとの報告もある。我々は、血圧制御に重要なアンギオテンシン受容体 (AgtrIa)に着目し、AgtrIaの欠損が脳内Aβ蓄積を顕著に阻害することを明らかにした。さらに、AgtrIa欠損のマウス初代培養線維芽細胞では、Aβ産生が著しく減少したことを見いだした。以上の結果から、AgtrIaがAD発症に関与していることが示唆された。
|