研究課題
平成27年度に続いて、孤発性、遺伝性(P102L、V180I、E200K、M232R)、医原性プリオン病を検討した。病理組織は、前頭葉、帯状回、側頭葉、頭頂葉、後頭葉、扁桃、海馬、海馬傍回、大脳基底核、視床、小脳、脳幹部、網膜+視神経(一部の症例)を全例で検討した。全部位を、HE、KB染色と抗プリオン抗体免疫染色(3F4)で評価した。PrP沈着と神経線維との関連に関し、海馬錐体細胞の樹状突起や軸索に沿った3F4陽性の顆粒状の連続する沈着を認めた。この所見は海馬CA4で顕著だった。一方、側頭葉皮質においても認めた。しかし、それ以外の部位では極めて稀だった。一部の遺伝性プリオン病においては、3F4の免疫染色が困難で、染色プロトコールの見直しと3F4とは異なる抗プリオン抗体も使用した。その結果3F4による比較的安定した評価も可能となった。同時に12F10抗体でも3F4と同様によい結果を得、海馬錐体細胞や側頭葉において神経細胞軸索や樹状突起に沿った顆粒状の陽性所見を認め、その存在自体は確かであろう。Parchiらによるプリオン病分類と上記病理所見との関連は現状では明らかではない。以前報告したような一部の遺伝性GSSにみられた軸索上に均一なPrP陽性所見とは異なるものであると考えられた。また、Kovacsにより提唱された、AT8陽性のsmall neuritic profileは原則としてすべての症例でみられた。以上、抗プリオン抗体免疫染色では、海馬CA4や側頭葉を中心として軸索や樹状突起に沿った細顆粒上の陽性所見が見られた。この意義はまだ明らかではないが、他の部位でみられることは極めて少ない。一方、軸索に均一にみられるPrP陽性所見は明らかではなかった。
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