プリオン病におけるプリオンタンパクの脳内伝播に関して、神経病理学的に検討するために、一部の遺伝性プリオン病にみられる神経細胞軸索に一致する抗プリオン抗体陽性所見を検討した。対象には、ブレインバンクの症例として孤発性クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)を中心に、遺伝性CJD、ゲルストマン・シュトロイスラー・シャインカー病などを検討した。軸索に一致するような所見はみられなかったが、神経細胞体や樹状突起,軸索を縁取るように細顆粒状に沈着する抗プリオン抗体陽性所見を海馬錐体細胞や側頭葉皮質に認めた。従来VV2プリオンに多くみられる本所見の意義に関して引き続き検討を要する。
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