研究実績の概要 |
申請者らは転写抑制性細胞死(Transcription Repression Induced Cell Death, TRIAD)の分子メカニズムを解明するにあたり、ショウジョウバエRNAiライブラリーを用いたin vivo遺伝子スクリーニングを行う計画を立てた。遺伝子スクリーニングを行うにあたり、まずはショウジョウバエでも、2006年に星野らが発表したオリジナルのTRIAD(Hoshino et al., 2006 JCB)と同様の細胞死が起こるかを確認した。ショウジョウバエの個体においてもタマゴテングタケ由来のRNA polymerase inhibitorであるalpha-amanitin (AMA)による転写抑制性は中枢神経細胞においてTRIADと同様の形態を示す細胞死を誘導した。これによりショウジョウバエをTRIADの解析に用いることの根拠が担保されたと考えられる。そこで、実際にRANiライブラリーのスクリーニングを行った結果、ノックダウンによりTRIADを抑制する遺伝子を複数見出した。これらの遺伝子の相互関連を明らかにするため、Ingenutity IPAソフトウェアを用いた遺伝子間相互作用解析を行った。その結果、スクリーニング結果には含まれなかった複数の遺伝子がTRIADの分子経路において中心的な役割を果たしていることが示唆された。PLK1, Htt, hnRNPAB等の遺伝子が重要であることを示すため、これらの遺伝子の過剰発現を行ったところ、ショウジョウバエ及びオリジナルのTRIADにおいても抑制効果があった。また、hnRNPABはHttのスプライシングを調節することでTRIADをコントロールしていることが明らかとなった。これらの結果はCell Death and Diseaseにアクセプトされている。
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