研究課題/領域番号 |
26430078
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
外角 直樹 久留米大学, 医学部, 講師 (60368884)
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研究分担者 |
西 昭徳 久留米大学, 医学部, 教授 (50228144)
首藤 隆秀 久留米大学, 医学部, 助教 (70412541)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | コンドロイチン硫酸 / 細胞外マトリックス / 神経細胞 / 細胞接着 |
研究実績の概要 |
コンドロイチン硫酸(CS)糖鎖の中でCS-E 構造を多く含む糖鎖(CS-E 糖鎖)を培養液に添加すると、胎生14 日マウス大脳皮質から調整した培養1日目の未熟な神経細胞の形態を著しく変化させることを見出した。この変化は、培養7日目の細胞では誘導されない。また、CS-A からCS-D 糖鎖では形態変化は観察されず、CS-E 糖鎖に特異的な変化であった。 作用分子メカニズムの解析から、CS-E 糖鎖の刺激により生じる形態変化は、過酸化水素分解酵素カタラーゼや血管内皮細胞増殖因子(VEGF)受容体キナーゼ阻害剤の存在下で抑制されるという結果を得た。VEGF発現変動をリアルタイムPCR法と細胞免疫染色法にて測定したところ、CS-E 糖鎖の刺激による VEGF 遺伝子、タンパク質の発現変動は認められなかったが、培養1日目の未熟な神経細胞は、VEGF を産生していた。CS 糖鎖やヘパリンなどのグリコサミノグリカンが VEGF シグナルを増強するという先攻研究を参考に、VEGF 機能阻害抗体の培養液中添加により神経細胞から分泌された VEGF を抑制しても CS-E 糖鎖による形態変化は確認された。そのため、CS-E 糖鎖と高い結合性を示す分子をこれまでの報告から検索し、VEGF に加えてセマフォリン3A を介したVEGF 受容体活性化と過酸化水素産生能について検討することを計画した。また、これまでの薬理学的解析の結果をもとに、RNA 干渉法で標的分子をノックダウンした細胞を作製して CS-E 糖鎖の効果を検討することを計画した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまでの阻害剤を用いた薬理学的解析をもとに、神経細胞の形態変化を誘導するシグナル分子を RNA 干渉法でノックダウンした細胞を調整し、CS-E 糖鎖の効果を検討することを計画した。しかしながら、ノックダウン効率は20 ~ 30 % 程度しか得られず、その細胞をCS-E 糖鎖で刺激しても形態変化が誘導された。 この理由として、ノックダウン効率の低さに加えて、候補分子の選定が適切ではなかったことも考えられる。トランスフェクション方法を変えてノックダウン効率を高めるための検討と、CS-E 糖鎖で刺激された細胞の形態と性状を詳細に再検討する必要があったため本来の計画通り研究を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
前年度に引き続き、siRNA を細胞内に導入する方法を改善し、CS-E 糖鎖刺激で神経細胞が形態変化を示す際のシグナル候補分子のノックダウン効率を向上させる。ノックダウン効率の高い方法、その方法により作製された細胞を CS-E 糖鎖で刺激した時の形態変化と細胞内分子シグナルを解析する。また、細胞の性状解析の結果、CS-E 糖鎖で刺激した細胞は、培養皿との接着が弱まり細胞同士の結合が強まる。そこで、CS-E 糖鎖と相互作用をし細胞の接着性を変化させる分子を同定する。
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次年度使用額が生じた理由 |
残金876円は、物品や旅費として使用するためには小額であるため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度(平成27年度)の支給額と合わせて、試薬購入費として使用する。
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