研究課題
MAIT細胞フェノタイプの解析:サルMAIT細胞のフェノタイプの詳細な解析のためのレファレンスとして、ヒトMAIT細胞のフェノタイプ解析を行った。サル細胞の免疫学的解析はヒトに対する抗体とのクロスリアクションで見ており、サル特異的な試薬はごく限られている。そのため、ヒトで使われているマーカーが必ずしもサルで検出可能ではない。そこでサルで使える抗体の選択のためにも、より多くのヒトMAIT細胞フェノタイプに対する情報が必要である。健常人150名から得られ末梢血のフローサイトメトリー解析の結果、血中MAIT細胞の割合、年齢、性別との相関に関するデータを得ることができた。その結果、MAIT細胞は年齢と共にその割合が有意に低下すること、またMAIT細胞を規定する主要なマーカーであるIL18RαとCD161の発現が年齢と共に低下する傾向があることが示唆された。また、ヒトの疾患とMAIT細胞の関連を調べるため、すでに関連性が指摘されている多発性硬化症(MS)患者におけるMAIT細胞のフェノタイプと投薬の影響について調べた。健常人MAIT細胞のほとんどはCD8の発現が見られるが、投薬をしていないMS患者ではCD8の発現が低下していた。健常人MAIT細胞(CD8hi MAIT)とMS患者MAIT細胞(CD8lo/neg MAIT)のフェノタイプの比較によりCD8lo/neg MAITはCD8hi MAITより活性化した細胞であることが示唆された。MS患者ではFTY720長期投与によりMAIT細胞にCD8の発現が回復することから、MS病態とMAIT細胞の活性化の関連が示唆された。
3: やや遅れている
MR1リガンドによるMAIT細胞の活性化、MR1テトラマーによるMAIT細胞の同定など、機能に関連した課題がやや遅れている。
MAIT細胞の機能解析を行う。結果を取りまとめて学術誌に成果を発表する。
若干の残はあるが、ほぼ計画どおりに使用した。
消耗品の購入に充てる。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件) 学会発表 (1件)
Journal of Immunology
巻: 195 ページ: 1774-1781
10.4049/jimmunol.1500522
巻: 195 ページ: 4884-4891
10.4049/jimmunol.1501194
Journal of Leukocyte Biology
巻: 97 ページ: 1147-1153
10.1189/jlb.4A0914-441R