研究課題
本年度は汎用動物モデルを用いたMAIT細胞の機能解析と疾患モデルの構築を目指し、マウスMAIT細胞からiPS細胞を樹立することを試みた。MAIT細胞はヒトにおいて最大のT細胞集団であるのに対して、一般的な実験用マウスにおけるその頻度は極めて低く(脾臓においては0.6%以下)、またマウスMAIT細胞を特異的に検出できる市販抗体は存在しない。我々はこれまでに複数の論文で報告されているMAIT細胞表面マーカーを組み合わせることによりC57BL6マウス脾臓細胞からMAIT細胞を15~20%含む細胞集団をセルソーティング技術を用いて分取することに成功した。この細胞集団に初期化因子発現センダイウイルスベクターを用いてiPS細胞を作製し、50以上のクローンを得た。得られたクローンからゲノムDNAを抽出してPCRを行ってMAIT細胞特異的なT細胞レセプターα鎖の再編成(TCR Vα19-Jα33)を確認した結果、95%以上のクローンがMAIT細胞由来であることが明らかになった。このことからMAIT細胞は様々なT細胞が存在する中で我々の用いた方法では選択的にiPS化されることが示された。さらに先端モデル動物支援プラットフォームの支援を受け、樹立したiPS細胞が胚性幹細胞の性質を持つか確認するためキメラマウスの作製を試みた。その結果、調べた3クローン全てからキメラマウスが産出された。今後はこのマウスiPS細胞を用いて新規MAIT細胞実験用マウスモデルを構築し、ヒト疾患との関連を明らかにしていく。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (2件)
PLoS One
巻: 12 ページ: e0174699
10.1371/journal.pone.0174699
SpringerPlus
巻: 5 ページ: 1259
10.1186/s40064-016-2923-9