研究課題
申請者は、7回膜貫通型受容体・APJに関して、血圧調節に重要な血管の平滑筋細胞にてAPJを過剰発現するマウス・SMA-APJを作製し、APJがα1アドレナリン受容体(α1-AR)と機能的に相互作用することで血管の強縮や血圧上昇、さらに心臓冠動脈の狭窄を誘導する可能性を見出した(未発表)。本研究では、血管平滑筋上のAPJによるα1-ARと協調した血管異常収縮の分子メカニズムを明らかにし、受容体間相互作用の血圧恒常性や血管収縮制御、また、虚血性心疾患における役割の解明を目指す。平成26年度は、血管平滑筋APJシグナルの亢進による、血管収縮反応の確認のため、高輝度光科学研究センター SPring-8にて取得したSMA-APJマウスへのAPJリガンド(アペリン)投与時の心臓冠動脈造影像を数値解析し、リガンド刺激に応じた血管径の減少等を確認し、個体内において血管平滑筋APJ活性化による血管収縮反応を証明した。また、APJとα1-ARとの機能的相互作用の分子メカニズム解明のため、APJとα1-ARとの分子間ダイマー形成をBiFCアッセイにて検討した結果、両者は物理的に相互作用することを突き止めた。
2: おおむね順調に進展している
SMA-APJマウスを用いたin vivo血管造影解析から、血管平滑筋上のAPJはリガンド刺激に応答して冠血管を収縮させることを、生きたままのマウス心臓にて直接証明した。さらに、APJがα1-ARと物理的に相互作用することを明らかとし、APJとα1-ARとの協調的な血管収縮メカニズムの解明へ向けた重要な情報を得た。
昨年度の結果を受け、本年度は、APJ受容体とα1-ARとの機能的相互作用の分子メカニズム解明のため、APJ活性化による心臓冠動脈収縮について、マイクロフィル法とα1-AR受容体の各サブタイプ(α1A-、α1B-、α1D-AR)に対する阻害剤を用いた薬理学的アプローチを組み合わせ、SMA-APJマウスの血管以上収縮におけるα1サブタイプの機能的関与を検討する。また、先行解析にて同定したα1-ARのC末細胞内ドメインを欠くアイソフォームについて、CRISPR/Casシステムによるノックインマウスの作製を進める。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (18件) (うち招待講演 1件)
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