研究課題
申請者は、7回膜貫通型受容体・APJに関して、血圧調節に重要な血管の平滑筋細胞にてAPJを過剰発現するマウス・SMA-APJを作製し、APJがα1アドレナリン受容体(α1-AR)と機能的に相互作用することで血管の強縮や血圧上昇、さらに心臓冠動脈の狭窄を誘導する可能性を見出した(未発表)。本研究では、血管平滑筋上のAPJによるα1-ARと協調した血管異常収縮の分子メカニズムを明らかにし、受容体間相互作用の血圧恒常性や血管収縮制御、また、虚血性心疾患における役割の解明を目指す。平成27年度は、APJ受容体とα1-ARとの機能的相互作用の分子メカニズム解明のため、APJ活性化による心臓冠動脈収縮について、マイクロフィル法とα1-AR受容体の各サブタイプ(α1A-、α1B-、α1D-AR)に対する阻害剤を用いた薬理学的アプローチを組み合わせ、SMA-APJマウスの血管異常収縮においてα1サブタイプの中でα1A-ARが主にAPJとの協調的な血管収縮に重要であることを突き止めた。
2: おおむね順調に進展している
マウス大動脈標本を用いたex vivo血管収縮解析において、受容体の阻害剤を用いた薬理学的検討から、APJとの協調的な血管収縮にはα1-ARサブタイプの中でα1Aが重要であることを突き止め、両受容体による血管収縮メカニズムの解明へ向けた重要な情報を得た。
昨年度の結果を受け、本年度は、APJ受容体とα1-ARとの機能的相互作用の分子メカニズム解明のため、APJとα1A-ARの活性化による細胞内の血管収縮シグナルについての検討を行う。また、先行解析にて同定したα1-ARのC末細胞内ドメインを欠くアイソフォームについて、CRISPR/Casシステムによるノックインマウスの解析を進め、両受容体による血管収縮、血圧制御における重要性について個体レベルでの検討を試みる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 1件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
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