研究課題
我々が作製した、新規非コードRNAのKOマウスはヒト疾患に似た表現型を示す。本研究では、lncRNA KOマウスの解析を行うことにより疾患の分子機構を明らかにすることを目的とする。近年、哺乳類ではタンパク質をコードしない非コードRNA(non-coding RNA, ncRNA)が多量に転写されていることが分かってきた。この内200塩基以上の長いncRNA(long non-coding RNA, lncRNA)は,個体レベルで生理 機能が明らかになっているものは稀であり、その役割の解明が求められている状況である。本申請では、独自に作製したlncRNA KOマウスの表現型を解析することにより、lncRNAの発生、疾患の発症機構における機能を明らかにする。このノックアウトマウスを疾患モデルとしてヒトの疾患の原因究明に繋げたい。ヘテロKOマウス同士の交配実験を行い、表現型の特徴を明らかにした。さらにKOマウスの発生を遡り、異常は胎児期に出現することを明らかにすることにより、ヒト疾患の表現型との比較をおこなった。異常の観察は共焦点レーザー顕微鏡を持いて行い、詳細な細胞および組織部位の観察を可能にできる工夫を行っている。また、発生ステージを追いながらreal time PCR及び、fluorescence in situ hybridizationを用いてlncRNAの詳細な発現パターンの解析を行ない、lncRNAは発生初期から発現すること,更に細胞内での局在を突き止めた。さらにKOマウスの遺伝子発現を体系的に調べ、遺伝子発現レベルでの異常を検出することに成功した。これまで謎の多かったlncRNAの個体での機能を明らかにし、疾患モデルマウスとしての有用性を示唆することに成功した。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (3件) 備考 (2件)
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