研究課題
糖尿病は膵β細胞の障害によりインスリン分泌の低下、もしくはインスリン抵抗性によって発症する。一方、小胞体内に異常タンパク質が蓄積し、恒常性が損なわれる「小胞体ストレス」と呼ばれる現象がある。これらふたつが密接に関わっているといわれているが詳細はいまだ明らかでない点が多い。本研究において、哺乳類細胞における小胞体ストレスセンサーのうちのひとつであるIRE1αの膵β細胞における機能を明らかにするため、膵α細胞特異的にIRE1αを欠失させたマウスを用いて解析を行った。このマウスは、インスリン依存的な糖尿病を引き起こす。IRE1αとインスリン分泌の関連を詳細に調べるため、Creタンパク質を発現させることによってIRE1α RNase ドメインを欠失し、下流のXBP1へのシグナルを遮断する細胞を樹立した。定量的PCRにより、インスリン1,2遺伝子、インスリンにかかわる転写因子、また小胞体関連遺伝子の転写にはIRE1α-XBP1経路は関係していないようであった。また、放射性同位元素を取り込ませてプロインスリン、インスリンの翻訳合成をみたところ、IRE1α-XBP1経路は、翻訳合成にも関係していないことがわかった。一方、qPCR、タンパク質発現の解析より、一部のフォールディングに関するPDIファミリーの5遺伝子の発現が減少していることがわかった。これらのことから、IRE1α-XBP1経路は、膵β細胞において、インスリンのフォールディング機能にかかわっていることが示唆された。
動物細胞工学研究室は2017年3月31日に閉室となりましたが、研究内容や成果につきましては当面の期間、アーカイブとして公開します。
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Cell Structure and Function
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YAKUGAKU ZASSHI
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http://bsw3.naist.jp/kouno/research.html