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2014 年度 実施状況報告書

内在リガンド認識性抑制型C型レクチン受容体の生理機能と疾患関連の解明

研究課題

研究課題/領域番号 26430095
研究機関東京理科大学

研究代表者

海部 知則  東京理科大学, 生命医科学研究所, 助教 (90343037)

研究分担者 岩倉 洋一郎  東京理科大学, 生命医科学研究所, 教授 (10089120)
研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワードC型レクチン受容体 / DCIR / リガンド
研究実績の概要

C型レクチン受容体(CLRs)はパターン認識受容体(PRRs)として近年注目され、Toll-like receptorsやNOD-like receptorsなどとともに感染防御機構や獲得免疫応答における重要な受容体である。これらのCLRsは病原体を認識した後、生体応答を惹起することが知られているが、最近、抑制性シグナルモチーフであるImmunoreceptor Tyrosine-based Inhibitory Motif (ITIM)を持つCLRsの存在が明らかになった。抑制性モチーフを持つことから生体応答を負に制御することが予想されるが、その生理的機能および分子機構については不明な点が多い。
DCIRはITIMを持つ抑制性C型レクチン受容体の一つであり、DCIR遺伝子欠損マウスを用いた解析により、DCIRは免疫システムの恒常性維持に重要な役割を果たしていること、DCIR遺伝子欠損マウスが腱付着部炎を主徴とする骨異形成を伴うヒト強直性脊椎炎に類似した症状を自然発症することを明らかにしてきた。これらのDCIR遺伝子欠損マウスの解析からDCIRは免疫系のみならず骨代謝系の恒常性を維持するユニークな抑制型CLRsであり、その制御破綻は免疫系および骨代謝系の疾患発症に繋がることを明らかにしたが、受容体の活性化に必須であるリガンドや生体恒常性維持機能の分子機構の詳細は不明であった。
慢性的な炎症状態の持続は生体恒常性を破壊することから、DSS誘導性大腸炎モデルを利用し、DCIRの生理的機能を明らかにすることを目的とした。DCIR遺伝子欠損マウスはDSS誘導性大腸炎が増悪化することが示された。DCIRは単球/マクロファージや樹状細胞などのミエロイド系細胞に発現することが分かっている。これらの細胞は病原体の認識および早期の感染応答惹起に重要な細胞群であるが、DCIRを介した抑制シグナルはこれらの細胞活性を減弱させ、過剰な免疫応答を回避する役割を担っていることが示唆される。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

DCIR遺伝子欠損マウスにDSS誘導性大腸炎を誘発し、疾患症状、腸管の組織学的解析、血中サイトカイン産生の検出を実施した。またDCIR/Rag2欠損マウスにDSS誘導性大腸炎を誘発し、体重変動と生存率を観察した。また、DCIR-Fcタンパクを用いて脾臓およびリンパ節の免疫系細胞におけるDCIRリガンドの発現パターンを検出した。
Clec12a遺伝子欠損マウス作製用のターゲティングベクターの作製には成功したが、相同組換えを起こしたES細胞を選別することが出来なかった。そこで、CRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集技術を用いて遺伝子改変マウスの作製に着手した。gRNAのベクター作製は終了し、遺伝子改変マウスの産出を実施する段階に移行している。

今後の研究の推進方策

Clec12a遺伝子欠損マウスの作製に注力する。CRISPR/Cas9法を用いたゲノム編集技術を利用して遺伝子改変マウスの作製を実施する。Cre-loxpを用いたコンディショナルノックアウトマウス用のターゲティングベクターをEUCOMMから購入することを予定している。これら二種類の方法を用いて、遺伝子改変マウスの作製を早急に進めていく。
DCIR-DCIRリガンド作用によるミエロイド系細胞の機能制御を解析する。自然免疫系に関与する細胞におけるDCIRの機能解析を進め、特に、単球/マクロファージや樹状細胞におけるDCIRの役割を明らかにする。in vitro系により、DCIR-DCIRリガンドが抑制的に制御する活性化シグナルの候補を探索する。また、腸管に存在する免疫系細胞または非免疫系細胞におけるDCIRリガンドの発現様式を解析する予定である。

次年度使用額が生じた理由

物品費として使用を予定していたが少額の残金のため次年度に繰り越した。

次年度使用額の使用計画

物品費に合算して2015年度に使用する予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)

  • [雑誌論文] Exacerbation of experimental autoimmune encephalomyelitis in mice deficient for DCIR, an inhibitory C-type lectin receptor2014

    • 著者名/発表者名
      Seno A, Maruhashi T, Kaifu T, Yabe R, Fujikado N, Ma G, Ikarashi T, Kakuta S, Iwakura Y
    • 雑誌名

      Experimental Animals

      巻: Epub ページ: Epub

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Generation of a Tlx1CreER-Venus Knock-in Mouse Strain for the Study of Spleen Development2014

    • 著者名/発表者名
      Nakahara, R., Kawai, Y., Oda, A., Nishimura, M., Murakami, A., Azuma, T., Kaifu, T., Goitsuka, R
    • 雑誌名

      Genesis

      巻: 52 ページ: 916-23

    • DOI

      10.1002/dvg.22829

    • 査読あり
  • [学会発表] IFN-γ is an osteoblatogenic factor for increasing the bone volume in DCIR-deficient mice.2014

    • 著者名/発表者名
      海部知則、丸橋拓海、馬光宇、矢部力朗、妹尾彬正、岩倉洋一郎
    • 学会等名
      第43回日本免疫学会総会・学術集会
    • 発表場所
      国立京都国際会館、京都
    • 年月日
      2014-12-11
  • [学会発表] 抑制型C型レクチン受容体Dendritic Cell ImmunoReceptor (DCIR)とIFN-γによる骨代謝制御2014

    • 著者名/発表者名
      海部知則、丸橋拓海、馬光宇、矢部力朗、妹尾彬正、岩倉洋一郎
    • 学会等名
      第181回日仏生物学会例会
    • 発表場所
      京都産業大学むすびわざ館、京都
    • 年月日
      2014-12-06
  • [学会発表] 抑制性C型レクチン受容体DCIRによるIFN-γを介した骨代謝制御機構.2014

    • 著者名/発表者名
      海部知則、丸橋拓海、馬光宇、矢部力朗、妹尾彬正、岩倉洋一郎
    • 学会等名
      第79回日本インターフェロン・サイトカイン学会学術集会
    • 発表場所
      北海道大学医学部学友会館フラテホール、北海道
    • 年月日
      2014-06-19 – 2014-06-20
  • [学会発表] 抑制性C型レクチン受容体DCIRによる骨代謝制御機構2014

    • 著者名/発表者名
      海部知則
    • 学会等名
      IGMセミナー
    • 発表場所
      北海道大学遺伝子病制御研究所、北海道
    • 年月日
      2014-06-18
    • 招待講演
  • [学会発表] DCIR欠損マウスで認められた骨量増加メカニズムの解明2014

    • 著者名/発表者名
      海部知則、丸橋拓海、馬光宇、矢部力朗、妹尾彬正、岩倉洋一郎
    • 学会等名
      第61回日本実験動物学会総会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター、北海道
    • 年月日
      2014-05-15 – 2014-05-17
  • [学会発表] 東京理科大学生命医科学研究所実験動物研究部門における遺伝子改変マウス供給について.2014

    • 著者名/発表者名
      久保幸子、海部知則、立石麻理子、岩倉洋一郎
    • 学会等名
      第61回日本実験動物学会総会
    • 発表場所
      札幌コンベンションセンター、北海道
    • 年月日
      2014-05-15 – 2014-05-17
  • [産業財産権] 樹状細胞免疫受容体活性化剤、樹状細胞免疫受容体活性化方法、破骨細胞形成抑制剤、破骨細胞形成抑制方法、樹状細胞分化・増殖阻害剤、樹状細胞分化・増殖阻害方法。2014

    • 発明者名
      岩倉洋一郎、海部知則、矢部力朗
    • 権利者名
      岩倉洋一郎、海部知則、矢部力朗
    • 産業財産権種類
      特許
    • 産業財産権番号
      2014-143491
    • 出願年月日
      2014-07-14
    • 外国

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公開日: 2016-05-27  

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