研究課題/領域番号 |
26430102
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
岡田 浩典 日本医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (80416271)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | AAVベクター / てんかん / マーモセット / 超音波 / 血液脳関門 / 疾患モデル / 成体 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、マーモセット脳における血液脳関門開放についての解析を進めた。アルブミンに結合するプローブである炭素11で標識したα-アミノイソ酪酸(11C-AIB)を用いて超音波照射前および直後をPET撮像した。超音波は左頭頂部より脳の中心方向に向けて照射した。超音波照射時に、マイクロバブルおよび[11C]AIBに加えて、EGFPのcDNA配列をAAVベクターゲノムに含むrAAV1(rAAV1-EGFP)を尾静脈よりボーラス投与した。その48時間後、同様にDsRed2のcDNA配列を持つrAAV1(rAAV1-DsRed2)を静脈内投与した。超音波照射から1週間後に剖検し、脳組織中のEGFPまたはDsRed2をコードするrAAV1の分布を調べた。PET撮像の結果、前部帯状回、基底核、扁桃体、上側頭回、海馬付近にアルブミンの漏れが認められた。また、rAAV1の分布については、超音波照射の直後に投与したrAAV1-EGFPが照射した側の海馬に強く導入されたが、照射後48時間に投与したrAAV1-DsRed2については他の領域と差異が認められなかった。したがって、マーモセットにおける血液脳関門は、少なくとも48時間以内に再構成されることが確認された。 一方、てんかんの病態を誘導するために、乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)の原因として報告されているナトリウムチャンネル遺伝子の優勢阻害変異体(hSCN1A R222X または hSCN2A R102X)をCAGプロモーター下に発現するSelf-complementary AAVベクタープラスミドを構築した。また、実際にrAAVを作製するのに十分量のプラスミドを調製済みであり、現在rAAVの作製に取りかかっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
てんかんの病態を誘導するために、乳児重症ミオクロニーてんかん(ドラベ症候群)の原因として報告されているナトリウムチャンネル遺伝子を候補として、その優勢阻害変異体である hSCN1A R222X または hSCN2A R102X を発現するAAVベクタープラスミドの構築を進めた。AAVベクターによるtransductionの際に標的細胞に導入されたベクターゲノムの利用効率が高い一方でパッケージングキャパシティがやや小さいSelf-complementary AAVに搭載し、遍在性のCAGプロモーター下に発現する構成で構築を進めたが、若干手間取ってしまい、これらのプラスミドをrAAV作製に足りる量に調製するまでに留まった。
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今後の研究の推進方策 |
てんかんを誘導するためのAAVベクタープラスミドの構築と調製までが完了したため、引き続きこれを元にAAVベクターの作製を進める。AAVベクターを作製できた時点で、まずはマウスあるいはラットに投与して、てんかんの誘導能について確認する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
AAVベクタープラスミドの構築に手間取り、進行の遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後AAVベクターの産生および精製、ならびに動物への投与が必要であり、その費用として用いる。
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