DEK癌遺伝子の機能を明らかにするため、ドキシサイクリン誘導性DEK発現コントロールマウスを作製した。DEKの発現は、正常組織や臓器に組織学的な変化はきたさなかった。遺伝子レベルでは、たばこや発癌物質に代表される環境因子による組織変化に影響され、消化管扁平上皮臓器では、細胞増殖速度の促進がみられ、悪性腫瘍の形成と腫瘍細胞の増殖を加速させた。その腫瘍細胞増殖促進のメカニズムは、腫瘍細胞のセルサイクルのG1/S移行を活性化させることであった。DEKは癌遺伝子としての性格を有し、将来の癌治療のターゲットとなりうる基盤的成果を得ることができた。
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