研究課題
基盤研究(C)
本研究では,がんの血行性遠隔転移メカニズムの解明を目指し,腫瘍細胞(MDA-MB-231細胞)が細胞外の誘導因子(cue)に従い方向性に遊走するかどうかを検討し以下の成果を得た.①in vitroで培養細胞組織内に安定した代謝物質/代謝産物濃度勾配を簡便かつ安価に形成可能な方法を新規に開発した,②濃度勾配下の細胞は、高酸素濃度方向もしくは低H+濃度方向へ遊走した,③ここで観察された方向性細胞遊走は、非生理的な高酸素濃度(21%)下でも見られた,④細胞外H+濃度勾配を人為的に変化させると方向性遊走が消失する場合があった,⑤以上より今回証明した方向性遊走のcueは細胞外H+濃度勾配の可能性がある.
酸素の生理学