研究課題
本研究では、がん微小環境下の新生血管における中性アミノ酸トランスポーターLAT1の発現、機能解析を目的とし、各種検討を進めてきた。平成27年度までにヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)を用いたin vitro機能解析を進め、内皮増殖、遊走、チューブ形成にLAT1が寄与することを確認し、LAT1阻害時に誘導されるストレス応答因子がそれら機能に対し、中心的役割を果たす可能性を見出した。平成28年度は平成27年度までの成果を踏まえ、LAT1阻害時に誘導される因子のプロモータ―領域においてヒストン修飾パターンに変化がみられるかをChIP-qPCR法にて検討した。その結果、LAT1阻害による発現誘導に対し、転写亢進時に増加することが知られるアセチル化ヒストンやメチル化H3K4が増加していることが確認された。また、平成28年度はB16F10メラノーマ細胞皮下移植によって作成されたin vivoマウス固形腫瘍モデルに対し、JPH203を1日おきに50mg/kgにて腹腔投与することにより、腫瘍進展に影響があるかを観察した。皮下腫瘍形成時から経時的に観察したところ、JPH203投与群ではコントロール群に比して、エンドポイントにおける腫瘍容積・重量が有意に低下することが確認された。また、免疫組織化学による解析では、JPH203投与群でCD31にて染色される血管密度やCD45にて染色される腫瘍内白血球浸潤が低下傾向にあることが見出された。本実験を通して、JPH203によるマウス体重に対する影響は見られなかった。
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