研究課題
長鎖非コードRNA(long noncoding RNA: lncRNA)は、ヒトで数千種類以上存在していることが分かっているが、その機能はほとんど分かっていない。本研究では、申請者が同定した癌化シグナルによって発現誘導されるlncRNA(Oncogene-Activated lncRNA: OA-lncRNAと命名)に注目し、その機能解析を行う。これまでに申請者は、OA-lncRNAが骨肉腫細胞の増殖を促進する機能を持つことを見出している。そこで本研究では特に、OA-lncRNAと癌化との関連を解析し、その細胞機能と作用機序を解明することを目的とした。当該年度の研究成果として、申請者は、高解像度タイリングアレイ解析で同定したOA-lncRNAが、CDKインヒビターp18の転写を抑制することによって、細胞周期のG1期進行を促進することによって、細胞増殖を促進する機能を持つことを明らかとした。さらにOA-lncRNAは、癌治療で用いられているシスプラチンや5-フルオロウラシル添加によって、発現量が増加することを明らかとした。さらに、癌化シグナルによって発現量が増加したOA-lncRNA-2は、大腸癌細胞HCT116及び肺癌細胞H1299の増殖を促進する機能を持つことを見出した。
2: おおむね順調に進展している
本研究課題では、申請者が同定した癌化シグナルによって発現誘導される新規lncRNA(OA-lncRNA)に注目し、その機能を解明することを主な目的としてうr。当該年度では、上記のように、OA-lncRNAの発現パターンと、細胞増殖促進機構を明らかとした点、さらにOA-lncRNA-2の細胞内機能を明らかとした点で、本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。
今後は、OA-lncRNA、OA-lncRNA-2の発現制御機構を解明する。また、OA-lncRNAの詳細な作用機構を解明し、その知見に立脚した阻害剤のスクリーニング系の確立を行う。さらにOA-lncRNAの細胞増殖促進機構を明らかとする。
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