研究課題/領域番号 |
26430131
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研究機関 | 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所) |
研究代表者 |
生田 統悟 埼玉県立がんセンター(臨床腫瘍研究所), その他部局等, 研究員 (00262072)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大腸がん / 細胞運動 / wound healing / focal adhesion kinase / STAT3 / 炎症 |
研究実績の概要 |
AhR発現細胞の組織分布: タンパク質レベルでの解析のため、合成ペプチドをウサギ3匹に免疫して抗血清を得た。3匹中2匹の抗血清は、マウスHepa1細胞を使ったイムノブロットと培養細胞の免疫染色において、免疫前血清より強いシグナルが検出された。
ヒト大腸ガン組織におけるAhRの役割: 1)標的遺伝子の解析:細胞株HCT116にsiRNAをtransfectし、AhR発現を抑制させると、細胞増殖は促進された。AhRの下流のシグナルについて調べるため、この時に発現が変化する遺伝子をDNA micro arrayによって検討した結果、炎症関連因子が変化することが示された。さらに細胞内に生じるシグナルの変化を解析するため、免疫関連因子について検討したところ、リン酸化STAT3の増加が示された。 2)細胞運動の解析:がんの悪性化に伴い、細胞増殖のみならず、細胞の運動性が上昇する。これについて検討するため、wound healing assayおよびリアルタイム細胞解析システムを用いた実験をおこなった。その結果、siRNAを導入することによりAhR発現を抑制した細胞の運動性は、有意に増加することが示さた。さらに、この細胞はfibronectinコートされたシャーレ上でcontrol細胞より短かい時間で進展すること、またfocal adhesion kinaseの自己リン酸化がcontrol細胞より上昇していることが示された。 これらより、大腸がん細胞においてAhRが増殖と運動性の双方を抑制する働きがあることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物を使った実験が進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
AhRリガンドを含む飼料を与えたマウスの腸にみられる遺伝子発現の変化を解析し、AhRのがん予防効果の仕組みを検討する。また今年度見出されたAhR発現抑制細胞の運動性の増加や基質への進展の変化について、AhRがどのようなシグナルにコミットしているのかを解析することにより、がん抑制効果のメカニズムを調べたい。
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