研究課題/領域番号 |
26430138
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所) |
研究代表者 |
奥山 裕照 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 研究員 (50432373)
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研究分担者 |
井上 正宏 地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), 研究所, 部長 (10342990)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 大腸癌 / 3次元培養 / 極性 / src / dynamin / 肝転移 |
研究実績の概要 |
極性転換の分子機構の解明(既知の分子の解析) 極性に関与する分子としてPar3, atypical PKC などについて免疫染色によって浮遊培養とゲル培養での発現の変化を解析したが、原因遺伝子の可能性は低いと考えられた。ゲル培養はcollagen による刺激が入ることから、そのreceptor としてintegrin family が重要であり、integrin, およびその下流のシグナルであるp-FAK, p-Src, p-ILKについて発現の変化を免疫染色、western blot によって解析したところ、Src阻害剤で極性転換を顕著に抑制することからSrcの関与が示唆された。さらに、endocytosisに関与するdynaminにも注目した。Dynamin阻害剤で極性転換が抑制されたことから、dynaminの関与も示唆された。 極性転換を制御する分子の機能解析(In vivo の系での解析) 肝転移モデルを作成した。CTOS を門脈から注入して4 週間後に肝転移巣を形成する肝転移モデルを確立した。この系は主に転移の着床部分を検討する系と考えている。極性転換を制御する候補分子(Src, dynamin)に対する阻害剤で処理したCTOS を肝転移モデルに適用し、転移への影響について検討したところ、src、dynaminともにその阻害剤で処理したCTOSは肝転移を抑制した。さらに、それらの遺伝子に対するsiRNA を作成し、それらの遺伝子をCTOS でknock down して、polarity assayを行ったところ、src, dynamin siRNAでノックダウンしたCTOSは極性転換を阻害した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
平成27年度は極性転換の原因分子もsrc, dynamin2つを同定し、そららの肝転移モデルでの影響も検討することができ、期待する結果を得ることができた。26年度、27年度の結果をまとめ、論文として報告することもできた。
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今後の研究の推進方策 |
極性転換の分子機構のさらなる解析を進めることを今後の方策とする。とくに新たな極性転換に関与する遺伝子の網羅的解析を中心に進める。具体的には、すでに臨床検体から樹立したCTOSライン10症例分を用いて、浮遊培養とゲル培養での極性転換の有無を確認する。極性転換するCTOSと極性転換しないCTOSに分類し、microarrayを行い、網羅的遺伝子解析によって極性転換の新たな原因遺伝子の候補をいくつか同定する。 予備検討では、Rhoの関連分子が同定されており、今後はその機能解析を中心に行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
26年度は免疫不全マウスを用いたin vivoの実験が少なかったため、当初予定額より少なくなった。27年度は免疫不全マウスを用いたin vivoの実験が多かったが、26年度がin vitroの実験が主体であったため、合計すると、まだ次年度使用額が生じている。来年度以降も免疫不全マウスを用いたin vivoの実験、および網羅的解析による大量のin vitro実験を予定していることから来年度により多く使用することになる。
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次年度使用額の使用計画 |
引き続き、CTOS培養における消耗品や極性転換のin vitro実験、および、免疫不全マウスを用いたCTOS lineの維持やin vivoの実験に研究費を使用する予定である。またRho関連の分子に注目し、その遺伝子をノックダウンするためのsiRNAなどの購入に充てる予定である。
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