研究課題/領域番号 |
26430144
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
荒金 尚子 佐賀大学, 医学部, 准教授 (20321846)
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研究分担者 |
佐藤 明美 佐賀大学, 医学部, 研究員 (20568357)
中村 朝美 佐賀大学, 医学部, 助教 (90457490)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | EGFR T790M / plasma DNA / metastasis / mouse model |
研究実績の概要 |
今年度は、ヒト肺がん転移モデルマウスにおける転移巣形成と腫瘍細胞由来血漿遊離DNA量の経時的変化について検討した。 1.ヒト肺がん転移マウスの作成と転移の経時的変化:高度免疫不全マウス(NOD/SCID/Jak3欠損マウス:NOJマウス)を用いて検討した。NOJマウスは、熊本大学・岡田誠治教授が樹立した高度免疫不全マウスである。NOD.Cg-PrkdcScid種とJak3欠損マウスを交配して作成され、T細胞、B細胞、NKT細胞の欠損に加えて、NK細胞欠損、補体低下、マクロファージ・樹状細胞の機能異常を伴う(Okada, Int J Hematol 2008)。T790M、L858R変異を有するヒト肺がん細胞株H1975を、NOJマウスに移植しヒト肺がん転移(同種)を再現したモデルマウスを構築し、転移頻度、部位を確認した。 2.腫瘍細胞由来血漿遊離DNA量と腫瘍容量、転移頻度との相関:上記転移モデルマウスを経時的に解剖し、腫瘍容量、転移頻度及び、MBP-QP法を用いて血漿遊離DNA中T790M、L858R変異量との相関を検討した。腫瘍容量増加、転移頻度の上昇に伴い、腫瘍細胞由来血漿遊離DNA検出頻度は上昇した。 以上の結果より、腫瘍細胞由来遊離DNAは、腫瘍進展と共に血中に出現する事が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今回の研究を行うにあたり、モデルマウスの構築、血漿遊離DNA検出系の確立など、研究準備が整っていた事が達成理由と考える。
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今後の研究の推進方策 |
1.次世代EGFR-TKI阻害剤投与後の腫瘍由来血漿遊離DNAの変動 ① EGFR T790Mを有するヒト肺がん細胞株H1975に対して抗腫瘍活性をもつ次世代EGFR-TKIを投与し、抗腫瘍活性が血漿遊離DNAに反映されるか検討する。 ② 腫瘍由来血漿遊離DNAをT790M, L858Rを指標に経時的検討を行い、腫瘍由来血漿遊離DNAの消失時期と転移抑制時期との関連を検討する。 2.ヒト肺がん転移モデルマウスが転移を標的とした新規薬剤のスクリーニング系として有用であるか ①次世代EGFR-TKI耐性株をヒト肺がん細胞株H1975を用いて作成する。その耐性化因子抑制剤についての効果と血漿遊離DNAとの関連について検討する。
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