研究課題
[目的]:前立腺がんの診断には前立腺特異抗原(PSA値)が用いられているが、グレーゾーンといわれる検出範囲、4-10 ng/mlには良性疾患患者が7割も含まれ、不必要な針生検が行われているのが現状である。これまで申請者は前立腺がん患者血清ハプトグロビン(Hpt)からがん特異的な糖鎖修飾ペプチド抗体を作製し、ELISA法の開発を行ってきた。今回新たに、前立腺がん患者血清IgGの糖鎖構造変化を見出した。糖鎖修飾を標的としたHptとIgGによる多項目同時測定が可能なマルチプレックスビーズ結合抗体検出法を開発し、針生検を必要としない高感度、高精度な確定診断法を確立し臨床導入を目指す。患者への身体的負担と医療経済的負担の軽減を図る。[研究実施計画]:スクリーニングとして前立腺がん患者、良性疾患患者、健常者の血清を用いてウエスタンブロットを行い、それぞれの血清IgGに対する反応性の違いからがん患者由来の糖鎖修飾ペプチドG0F、G1F、G2F抗体の特異性の評価を行った。既に作成したanti Hpt抗体とanti IgG抗体を組み合わせることにより、健常者とグレーゾーン(4-10 ng/ml)値を示すがん患者の診断区別の可能性を示した。特異性が明らかとなったantiHpt抗体とanti IgG抗体を蛍光ビーズに結合し、作製した抗体を用いてELISA法が構築できるか検討した。実証実験として患者血清を試料に用いビーズ結合抗体、蛍光標識ストレプトアビジンを逐次反応させ結合量を測定した。前立腺がん患者、良性疾患患者、健常者間の血清HptおよびIgGの糖鎖修飾量を比較した。その結果、前立腺がん特異的糖鎖構造変化が有意にがん患者を識別できる可能性を確認を示した。前立腺がんの針生検を必要としない確定診断法の可能性が示された。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 1件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 2件)
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