研究課題
ヒト全遺伝子を対象としたshRNAを発現するウィルスベクターライブラリーをもちいて、発現の抑制が食道癌細胞株に抗癌剤耐性もしくは感受性をもたらす遺伝子の探索を行った。食道扁平上皮癌細胞株としてKYSE30、KYSE70、KYSE170株を使用したが、ウィルスベクターの導入効率や耐性亜株のクローニングのし易さから、KYSE170株を主に使用して実験を進めた。はじめに、Positive selectionとしてウィルス感染細胞にシスプラチンを投与し、耐性となっ た細胞の shRNA 配列を決定した。シスプラチン耐性となったKYSE170亜株が得られた。RNA干渉のターゲットとなる遺伝子の発現抑制が実際に起きているか確認し、別途作製したshRNA発現ベクターの導入でシスプラチン耐性がもたらされる遺伝子を抽出した。つぎに、Negative selectionとしてウィルスベクターライブラリーを導入した食道癌細胞株(KYSE170株)をシスプラチンを投与する実験用サンプルと投与しない対象サンプルに分け、シスプラチンを投与した後により増減したshRNA配列を次世代シーケンサーで比較することで、発現抑制がシスプラチン感受性をもたらす遺伝子を探索した。予想されたヌクレオチド除去修復に関わる遺伝子に加えて、ヒストン脱アセチル化酵素やヒストンメチルトランスフェラーゼなどヒストン修飾に関わる遺伝子が抽出された。この結果よりヒストン脱アセチル化酵素阻害剤はシスプラチンの殺細胞効果を増強することが予想され、実際に併用による相乗効果が確認された。
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