ハプトグロビン遺伝子多型によるがんペプチドワクチン投与患者の予後予測

2016 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 26430148
• 研究機関: 久留米大学
• 研究代表者: 七條 茂樹 久留米大学, がんワクチン研究所, 准教授 (30080592)
• 研究分担者: 野口 正典 久留米大学, 先端がん治療研究センター, 教授 (10140691) ; 由谷 茂 久留米大学, がんワクチンセンター, 教授 (20279160) ; 山田 康秀 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (80290956) [辞退] ; 高島 淳生 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医員 (20576186)
• 研究期間 (年度): 2014-04-01 – 2017-03-31
• キーワード: ハプトグロビン / サイトカイン / ペプチドワクチン / SNPs

研究実績の概要

各種がんにおけるハプトグロビン（Hp）BAFF、IP-10をELISAで、その他の血中サイトカイン(IL-1β、IL-10, IL-6、GM-CSF、IL-5、IFN-γ、TNF-α、IL-2、IL-4、IL-8)Luminexで測定した。
前立腺がん（N=104）、胃がん（N=73）、膀胱がん（N=84）、尿路上皮がん（N=58）、および食道がん（N=34）のHpをそれぞれの中央値以上（高値群）と未満（低値群）の生存期間を比較したところ、それぞれP<0.05で高値群の生存期間が短かった。一方で、胆道がん（N=87）、肺がん（N=50）、乳がん（57）、脳腫瘍（31）ではいずれも有意な差は認められなかった。また、胃がんの化学療法患者（N=86）でも有意な差は認められなかった。
非小細胞肺がんのランダム比較試験で、プラセボ群ではIL-4が、ワクチン併用群ではIL-6がそれぞれの高値群の生存期間が有意（P<0.05）に短く、胃がんでは、化学療法の場合、IL-6、IL-8の高値群がいずれも生存期間が有意（P<0.05）に短かったが、ワクチン併用群ではBAFF（P<0.05）高値群の生存期間が短く、がん種や治療法の違いによる生存期間と関連するサイトカインが異なることが示唆された。
胃がん(n=132)、前立腺がん(n=77)、および乳がん(n=67)、合計278症例でHp遺伝子の転写開始点から55塩基上流のrs5472がAA、GG、A/Gの生命予後期間を解析した。HpのSNPsのタイプ別の生存期間はP=0.0311でG, A/G, Aの順に長かった。Aタイプは他のタイプに比べて有意（P=0.0193）に短く、Gタイプは長い傾向（P=0.0550）にあったが、A/Gタイプは差が認められなかった。
以上より、がん種によって血中Hp値やサイトカインの種類が予後の規定因子になることが示唆された。

研究成果

• [雑誌論文] Personalized Kampo Medicine Facilitated Both Cytotoxic T Lymphocyte Response and Clinical Benefits Induced by Personalized Peptide Vaccination for Advanced Esophageal Cancer (2016)
  • 著者名/発表者名: Muroya D, Yutani S, Shichijo S, Yamada A, Sakamoto S, Naito M, Okuda K, Morita M, Yamaguchi R, and Itoh K
  • 雑誌名: Evidence-Based Complementary and Alternative Medicine 巻: 2016 ページ: in press
  • DOI: http://dx.doi.org/10.1155/2016/5929525
  • 査読あり / 謝辞記載あり
• [雑誌論文] Phase I study of a new cancer vaccine of ten mixed peptides for advanced cancer patients (2016)
  • 著者名/発表者名: Iwasa S, Yamada Y, Heike Y, Shoji H, Honma Y, Komatsu N, Matsueda S, Yamada A, Morita M, Yamaguchi R, Tanaka N, Kawahara A, Kage M, Shichijo S, Sasada T and Itoh K
  • 雑誌名: Cancer Sci 巻: 107 ページ: 590-600
  • 査読あり