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2014 年度 実施状況報告書

糖鎖腫瘍マーカーの探索とその評価

研究課題

研究課題/領域番号 26430151
研究機関地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所)

研究代表者

宮本 泰豪  地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立成人病センター(研究所), その他部局等, その他 (90322742)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2017-03-31
キーワード癌 / 腫瘍マーカー / 糖鎖
研究実績の概要

2種類の糖鎖腫瘍マーカー候補に対して、酵素消化(2-3 sialydase、1-3/4 fucosidase、 neuraminidase、biosidase、1-4 galactosidase、hexosaminidaseなどを使用)、2次元糖鎖マッピング法と質量分析法を組み合わせて、結合様式などを含めた詳細な構造決定を行った。そのうちの一つは、O型糖鎖のcore1構造にsialyl Lea構造が付加されたものであった。
申請時点では大腸癌患者5名、膵臓癌患者10名、胃癌患者10名、健常者30名の解析が終了していた。今年度はさらに多くの血清を収集し、膵臓癌65名、胃癌146名、大腸癌101名、食道癌74名、健常者194名分の血清を収集した。これらの血清を用いて上記2種類のマーカー候補のバリデーションを行ったところ、やはり癌患者の血清では、健常人に比して有意に高値をとることが明らかとなった。
また、これらの血清を用いて、新規の糖鎖腫瘍マーカー候補の探索も実施した。癌患者及び健常者の血清を凍結乾燥した後、ヒドラジン分解し、血清の糖たんぱく質から糖鎖部分を切り出し、無水酢酸にて再アセチル化を行った後、アミノピリジンにて糖鎖を蛍光標識(PA化)した。このPA化糖鎖を最初に順相のカラムで分離した。O型糖鎖に相当する分画を10フラクションにわけ、各フラクションを分取した。各フラクションは、次にC18の逆相カラムで分離した。フラクションコレクターで分離された糖鎖をすべて分取した。この逆相HPLCでのクロマトグラフィーを患者、健常者で詳細に比較して、患者では検出できるが健常者では認められない、あるいは極めて低いピークを探索した。その結果、新たに糖鎖腫瘍マーカー候補が検出された。この候補に対しても、質量分析などを用いた詳細な構造解析を実施した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の実施計画は、1)すでに発見されていた2種類のマーカー候補の詳細な糖鎖構造を決定すること、2)健常者、癌患者から多くの血清を収集し、バリデーションを実施すること、3)さらに新規の糖鎖腫瘍マーカー候補を探索することであった。これらすべてにおいて、ほぼ計画通りに実施できた。2種類の糖鎖構造は、結合様式まで詳しく構造解析できた。血清収集では、計画を上回る数を収集でき、バリデーションには十分であった。また、新規の糖鎖腫瘍マーカーを1種類、発見できた。

今後の研究の推進方策

現時点で3種類の糖鎖腫瘍マーカーが検出できた。これらのマーカーはHPLCでの蛍光強度でその濃度を測定しているが、明らかに精度、感度が低い。そこで今後は、質量分析、SRM法(Selected reaction monitoring)を用いた、血中微量糖鎖の定量法の確立に取り組む。さらに、精度を上げるため、安定同位体標識したものを内部標準として利用できるような系の確立を目指す。確立できれば、その方法を用いて癌患者、健常者の3種類のマーカー候補の血中濃度を正確に測定し、腫瘍マーカーとしての有用性を検討する。

次年度使用額が生じた理由

今年度は、糖鎖構造解析、血清収集、血清中の糖鎖解析が主な研究テーマであり、消耗品の支出が主であった。そのため、若干、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

今後は、消耗品の支出のほかに、研究成果の論文発表や学会発表にかかる費用や、質量分析による測定のためにnano-HPLCに関わる高価な消耗品に対する支出も発生する。それらの目的に使用する計画である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Precise structural analysis of O-linked oligosaccharides in human serum.2014

    • 著者名/発表者名
      Yabu, M., Korekane, H., Miyamoto, Y.
    • 雑誌名

      Glycobiology

      巻: 24(6) ページ: 542-553

    • DOI

      doi:cwu022 [pii]10.1093/glycob/cwu022

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [学会発表] 藪政彦、岡本三紀、是金宏昭、宮本泰豪ヒト血清中のO型糖鎖の詳細な構造解析2014

    • 著者名/発表者名
      藪政彦、岡本三紀、是金宏昭、宮本泰豪
    • 学会等名
      第33回日本糖質学会
    • 発表場所
      名古屋大学豊田講堂(名古屋)
    • 年月日
      2014-08-10 – 2014-08-12

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公開日: 2016-05-27  

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