研究課題/領域番号 |
26430155
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
白澤 浩 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (00216194)
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研究分担者 |
齋藤 謙悟 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (70451755) [辞退]
菅波 晃子 千葉大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (10527922)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 腫瘍融解ウイルス / ガンシクロビル / RNAウイルス |
研究実績の概要 |
がん細胞に選択的に感染・融解し、治療用外来遺伝子を発現する腫瘍融解ウイルスを臨床応用するためには、効率性と安全性が求められる。 がん細胞への吸着性(選択性)を改変できるエンベロープを持ち、外来遺伝子の発現も可能な、染色体への組込みを起こさないRNAウイルスであることが理想的な新世代の武装腫瘍融解ウイルスの条件として挙げられる。この条件に合致するトガウイルス科のシンドビスウイルス(SIN)を、より安全性の高い腫瘍融解ウイルスとするために、ヘルペスウイルスtk遺伝子を組込み、ガンシクロビルにより増殖制御可能な腫瘍融解RNAウイルスを開発することを本研究の目的とした。 昨年度作成したSINsgtk(tk遺伝子をウイルス構造タンパク質コード領域のCとE2との間に挿入し、強力な構造タンパク質発現プロモーターであるサブジェノミックプロモーターsgPrによりtkを発現する)のガンシクロビル感受性を確認した結果、癌細胞であるHeLa細胞における感受性は高く、非癌細胞であるVero細胞における薬剤感受性は低いことが明らかとなった。これは、ウイルスの増殖能と薬剤感受性が相関しているためと考えられた。 更に、スクリーニングにより、増殖速度が高いSINsgtk変異体を得ることができた。この変異体は、E2に1アミノ酸の置換があることが判明した。現在、本変異体のガンシクロビル感受性確認を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブジェノミックプロモーターよりtkを発現するSINsgtkの解析、変異体の取得は予定通りである。当初、tkの組換え体の増殖が予期したよりも悪かったため、nsp3にインフレームでtk遺伝子を持つ組換え体SINtkについては作製が遅れているが、取得した変異体の性質が好ましいものであることから、この変異体のnsp3にインフレームのtk遺伝子を組み込むことにより、今後は効率の良いtk発現SINを作製できるものと期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
SINsgtkのガンシクロビル耐性株を引き続き試みる。同時に、本年度獲得した変異株の解析を進め、ガンシクロビル高感受性株の解析を進める。現在、得ている変異株は腫瘍融解能が高く、ガンシクロビル感受性も高いことが期待されるが、来年度はこれらの結果から望ましい薬剤感受性SIN株の性状を確認し、次世代の腫瘍融解ウイルスの開発を目指したい。
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