研究実績の概要 |
EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌に対して、ゲフィチニブなどのEGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)を用いることにより、従来のプラチナベース化学療法と比べて、有意な無増悪生存期間の延長が得られる。一方で、EGFR-TKIに対する初期耐性のEGFR変異肺癌が一部見られ、その予後は極めて不良である。同初期耐性には腫瘍細胞におけるIL-6高発現の関与が示唆されている。 本研究では、EGFR変異肺癌の臨床検体を用い、ゲフィチニブ有効性と腫瘍細胞IL-6発現との関連の検討を行った。我々はゲフィチニブ治療を受けたEGFR遺伝子変異陽性肺癌患者52例において、IL-6高発現群は全体の46%を占め、低発現群と比べて、無増悪生存期間(PFS)の短縮傾向が認められた。細胞株を用いた非臨床研究においても、EGFR-TKIの有効性はIL-6発現と関連を有することを明らかにした。以上、IL-6高発現群においてEGFR-TKI単剤治療による効果は不十分であり、今後更なる戦略開発が必要と考えられた(Tamura T, Kato Y, Ohashi K, Ninomiya K, Makimoto G, Gotoda H, Kubo T, Ichihara E, Tanaka T, Ichimura K, Maeda Y, Hotta K (Corresponding author), Kiura K. Potential influence of interleukin-6 on the therapeutic effect of gefitinib in patients with advanced non-small cell lung cancer harbouring EGFR mutations. Biochem Biophys Res Commun. 2018;495:360)。
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