研究課題/領域番号 |
26430169
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
北里 英郎 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (90195256)
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研究分担者 |
中村 正樹 北里大学, 医療衛生学部, 助教 (30724554)
片桐 真人 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (50152674)
馬嶋 正隆 北里大学, 医学部, 教授 (70181641)
松本 和将 北里大学, 医学部, 講師 (70306603)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | IL-24 / 抗腫瘍性サイトカイン |
研究実績の概要 |
Human IL-24(hIL-24)リコンビナントによる細胞増殖の抑制が認められなかったことから、hIL-24による従来報告されている受容体を介した癌細胞の細胞死が今回使用した癌細胞株では誘導されないことが示唆された。癌細胞株のIL-24受容体(IL20RA, IL-22RA, IL-20RB)の遺伝子発現を確認したところ、その発現は癌細胞株により異なっていたが、ヒト前立腺癌細胞DU145では発現が認められなった。このことから、IL-24が受容体を介さない経路により癌細胞に影響を与えるか検討するため、IL-24受容体をも発現しないDU145細胞において、レトロウイルスベクターを用いて直接hIL-24遺伝子を導入することで癌細胞への抗腫瘍効果を解析した。hIL-24を導入したDU145-hIL-24は、WSTアッセイ及びBrdU ELISAアッセイにより増殖を抑制、cell death detection ELISAによりアポトーシスを誘導することが確認された。またコロニー形成アッセイにて細胞形態の変化が認められたことから、遺伝子発現をreal time PCRにて解析したところ、IL-24はDU145に対して上皮マーカー遺伝子(E-cadherin等)の上昇と間葉系マーカー遺伝子(fibronectin 1等)の減少を伴う変化をもたらしていた。hIL-24を発現することによりもたらされる形態変化をファロイジン染色により確認したところ、細胞の運動能に関係するアクリンフィラメントの形成がhIL-24導入により抑制されていることが確認された。これらのことより、前立腺癌DU145において、hIL-24発現が細胞増殖や細胞浸潤にかかわる遺伝子変化をもたらし、がんの悪性化を抑制する可能性が示唆された。癌細胞において発現誘導された間葉系遺伝子をhIL-24が抑制的に働く新たな知見が得られたため、論文投稿を予定している。
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