研究課題
研究目的:1. HER2陽性乳癌、胃癌細胞株においてheregulinの機能解析を行う。2. heregulinによる抗HER2薬への耐性機序解明を行う。3. 臨床サンプル(血液、癌組織)におけるheregulinの発現と抗HER2薬への感受性の相関を調べる。研究結果:in vitroの実験でHER2遺伝子増幅を有する乳癌細胞株、およびHER2遺伝子増幅を有する胃癌細胞株にレコンビナントのヘレギュリンを接触させると、下流分子Aktのリン酸化上昇がみられ、ラパチニブ、トラスツズマブに対する抗腫瘍効果に関する薬剤感受性が低下した。トラスツズマブとDM-1のコンジュゲート(T-DM1)では感受性の低下が認められなかった。各々、複数の細胞株で検討しており、再現性に問題はないと考えられた。この細胞の中からSKBR3、N87にヘレギュリン遺伝子を導入し強制発現株を作成した。MOCH遺伝子導入株と比較し、ラパチニブとトラスツズマブに対する感受性が低下したが、T-DM1の効果に変化は認めなかった。さらにN87のヘレギュリン導入株、MOCH導入株をマウスに移植し、ラパチニブ、トラスツズマブへ、およびT-DM1の感受性に変化がみられるか検討した。in vitroの結果と同様にラパチニブ、トラスツズマブではヘレギュリン導入株で抗腫瘍効果に関する感受性低下が認められたが、T-DM1では変化が認められなった。以上より、抗HER2薬の種類によって、ヘレギュリンによる耐性化の程度に差が認められた。トラスツズマブを含む抗腫瘍薬で治療をなされたHER2陽性乳癌および胃癌患者の治療前後で癌組織のヘレギュリン発現が増加していた。
すべて 2016
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Oncotarget
巻: 20;7(51) ページ: 84860-84871.
10.18632/oncotarget.12743.