研究課題
フロイント不完全アジュバントはがんペプチドワクチンで汎用されている免疫増強剤であるが、投与局所への残留性と刺激性・炎症惹起作用があり問題となっている。そこで、本研究では従来開発してきたテーラーメイドワクチンと同等以上の臨床効果を有し、かつ投与局所刺激性・残留性のない患者にやさしい次世代経皮カクテルワクチンの開発をめざし研究を行った。フロイントアジュバントに代わるアジュバントとして自然免疫レセプター関連アジュバントの実用化が進められている。我々は経皮ワクチンに応用可能な自然免疫レセプター関連アジュバントであるイミキモドの作用を増強する低分子化合物としてグリチルリチンを見出した。グリチルリチンは生薬甘草の成分で肝炎やアレルギーの治療薬として使用されており、ダメージ関連分子パターンHMGB1を阻害することが知られている。他のHMGB1阻害剤でも同様の免疫増強作用が認められることを示し、さらに、EG.7移植腫瘍治療モデルにおいてOVAペプチドワクチンで誘導される抗腫瘍作用を増強することを示した。免疫増強の作用機序として、免疫抑制作用を有する炎症性サイトカインの遺伝子発現がグリチルリチンにより抑制されること、およびHMGB1により誘導される免疫抑制が解除されることが明らかとなった(Cancer Sci,2016)。ワクチンペプチドの分子量は1000前後であり、皮膚の抗原提示細胞に到達させるためには、角質バリアーを通過させる必要がある。そこで、化学的に除去する方法を用いた塗布ワクチンの開発を試み、乳酸溶液に界面活性剤及び高分子ポリマー基剤を混合することにより、効果的かつ低侵襲性に角質層の除去が可能であり、OVAペプチドの塗布によりOVA特異的T細胞の増殖を誘導できることを示した。これらにより、経皮ワクチンの開発が飛躍的に進むことが期待される。
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