前立腺がんは、我が国において急増し、主要ながんの一つである。前立腺がん細胞集団中には高い腫瘍形成能をもつがん幹細胞が存在し、治療抵抗性の要因となっていることがわかってきた。しかし、がん幹細胞を標的とした薬剤は未だ十分に見出されていない。本研究では、前立腺がん幹細胞の新しい治療標的分子として、TRIB1という生存分子を同定した。また、TRIB1は小胞体のストレス応答因子GRP78の機能を制御する事によって、前立腺がんの増殖を引き起こすことがわかった。さらに、TRIB1の生存シグナルを遮断する候補薬剤を見出した。本研究成果は、前立腺がんの根治に結びつく新たな治療法開発の基盤になる可能性がある。
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