研究課題
昨年度に引き続き、cell penetrating peptide(CPP)をN末端に付加した蛍光発色タンパク、green fluorescence protein(GFP)の精製を行った。細胞選択制のないCPPとして汎用されているR9(アルギニンを9個繋げたペプチド)、2種類の同定したDC選択性CPP、H03LとF04Lをそれぞれ付加したGFP、およびCPPを付加していないGFPを大腸菌リコンビナントタンパクとして作製・精製した。これらの4種類の精製タンパクを、ヒトBリンパ芽球(DCの代替細胞として使用)あるいは線維芽細胞に一定時間5μMの濃度でパルスした後、洗浄後、フローサイトメーターにて蛍光強度を測定した。その結果、いずれの細胞においてもR9-GFPが最も効率よく浸透した。同定した2種類のDC選択性CPPの中では、F04LがBリンパ芽球により選択的に浸透している結果が得られた。この結果をもとに、CPPにモデル標的抗原のヒトサイトメガロウイルスpp65蛋白を融合したものを大腸菌リコンビナントタンパクとして作製中である。一方、細胞内に抗原が透過した後にプロセスされて細胞表面に提示されたエピトープペプチドをHLA拘束性に認識するCTL(クローン)を、実験のたびに準備することは極めて煩雑である。このため、HLA上に提示されたエピトープペプチドに直接結合する抗体の作製を試みた。まず、モノクローナル抗体を作製するために、ラットにHLA-A24/CMVpp65複合体を免疫した後、脾臓細胞を回収しBリンパ球ハイブリドーマを作製した。数百個のクローンの培養上清をスクリーニングしたが目的の活性を有する者は得られなかった。現在、抗体に代わる試薬としてにHLA-A24/CMVpp65複合体に特異的なT細胞受容体の親和性を増強する実験を実施している。
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Cancer Res.
巻: 76 ページ: 3756-3766
10.1158/0008-5472.CAN-15-3219.