研究課題/領域番号 |
26430180
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
長野 一也 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (40548301)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | Eph receptor A10 / 抗体療法 / アカデミア創薬 |
研究実績の概要 |
本研究では、申請者が新規乳がん関連蛋白質として同定した機能未知のEphA10受容体に対する抗体医薬の開発を推進するため、EphA10の機能を明らかにし、抗腫瘍効果メカニズムと起こりうる副作用を解析することで、有効で安全な抗体シーズの創製を目指している。 上記の研究目的を達成するため、本年度は、昨年度に樹立したEphA10のトランスフェクタント(TF)細胞やノックアウト(KO)マウスを利用して機能解析を進めた結果、以下の知見を得た。1)がんの主要な悪性形質である増殖性への影響を解析するため、EphA10の結合因子として知られるEphrinA3, A4, A5をTF細胞と親株に添加したところ、EphA10-TF細胞で有意に増殖活性が亢進した。2)1)をもとに、EphA10の下流のシグナルを解析すべく、両細胞をリガンド刺激した際にTF細胞でのみ発現変動する蛋白質を評価したところ、2倍以上発現が変動した蛋白質を10種類(EphA10を含む)同定した。3)Her2とEphA10の相互作用の可能性を探るべく、昨年度構築したHer2発現プラスミドを両細胞にトランスフェクションさせた。その結果、Her2とEphA10を共発現させた細胞でのみ、それぞれの発現量が増加している傾向が観察された。4)正常組織における機能解析を目的に、EphA10のKOマウスと野生型マウスにおいて、EphA10が発現している精巣の重量を測定した。その結果、野生型マウスに比較してKOマウスにおいて、精巣重量が低下している傾向が観察された。5)臨床応用を見据え、ファージヒト型抗体ライブラリから、ヒト抗EphA10抗体の取得を試みたところ、抗原への結合・選択を繰り返し、目的とする抗体が濃縮された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した内容にそって、研究が進行しているため。
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今後の研究の推進方策 |
TF細胞やKOマウスを活用して、引き続き、EphA10の機能解析を進める。また、得られた知見をもとに、既に取得している抗EphA10抗体の中和活性や体内分布などを解析するとともに、ヒト抗EphA10抗体を新たにスクリーニングすることで、EphA10を標的とした有効で安全な治療法の開発を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究を効率よく進められ、当初見積もった予算以下で実施できたことに加え、次年度(平成28年度:最終年度)に多くの予算が必要であることが推察されたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度(平成28年度)の当該研究の推進に使用する予定である。
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