研究課題
本研究では、申請者が新規乳がん関連蛋白質として同定した機能未知のEphA10受容体に対する抗体医薬の開発を推進するため、EphA10の機能を明らかにし、抗腫瘍効果メカニズムと起こりうる副作用を解析することで、有効で安全な抗体シーズの創製を目指している。上記の研究目的を達成するため、本年度は、EphA10のトランスフェクタント(TF)細胞やノックアウト(KO)マウス、独自に樹立したEphA10モノクローナル抗体(Clone:LBR)などを活用し、以下の知見をえた。1)昨年度までに、EphA10とそのリガンドは、がん細胞膜上で相互作用することでがん細胞の増殖を促進していることが推察された。そこで、本仮説を検証するため、TF細胞と親株の密度(相互作用の頻度)を変えて増殖性試験を試みた結果、高密度で播種した際に親株に比較して、TF細胞で増殖が亢進された。2)正常組織での機能解析を目的に、EphA10が発現する精巣に着目し、EphA10のKOマウスと野生型マウスのテストステロン量を比較した。その結果、EphA10のKOマウスでは交配能力は有しているものの、本マウスは、野生型マウスに比較して、テストステロン量が減少傾向にあることを見出した。3)EphA10の細胞外領域に対して樹立したモノクローナル抗体の薬効機序の解明を目的に、その特性を評価したところ、本抗体は、補体依存性細胞傷害活性と中和活性を有し、EphA10発現細胞を傷害するとともに、EphA10を介した増殖作用を抑制することが示唆された。4)臨床応用を見据え、昨年度までにファージヒト型抗体ライブラリからヒト抗EphA10抗体を濃縮した。そこで本年度はELISAにより、スクリーニングしたところ、EphA10を特異的に認識するクローンを取得することに成功した。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 4件)
Yakugaku Zasshi
巻: 136(2) ページ: 145-149
10.1248/yakushi.15-00226-1
Proceedings of the Japan Academy, Ser. B.
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